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1.異世界転生とスキルの謎

実はもう15話くらい書いているので安定して投稿できそうです

眩しい光が視界を満たす。気づけば、俺は白い空間に浮かんでいた。


(……何だ、ここ?)


 最後に覚えているのは、試験勉強の途中で意識が遠のいたこと。睡眠不足が祟ったのか、それとも過労か。とにかく、気がつけばこんな得体の知れない場所にいた。


「レイン・ローレン……」


 どこからともなく響く声。神のような存在なのか、それとも……。


「お前には新たな人生を与えよう」


「ちょっ、ちょっと待て! 俺、死んだのか!? それとも夢でも見てるのか!?」


「全ては流れのままに……」


 声がそう言った瞬間、俺の意識は再び闇に落ちた。


 目が覚めると、見知らぬ天井があった。


「……ん? どこだ、ここ?」


 木のはりがむき出しの天井、わずかにわらの香りがする寝具。どうやらどこかの家の中らしい。身体を起こそうとしたとき、自分の腕が妙に細いことに気づいた。いや、それどころか身体全体が小さくなっている。


(待てよ……? 俺、昨日まで大学の試験勉強をしてたはずだよな?)


 状況を整理しようとするが、記憶が妙に曖昧だ。確かに試験勉強をしていた。しかし、それ以降の記憶が抜け落ちている。朦朧とした意識の中、ふと「ステータス」という単語が頭に浮かんだ。


「……ステータスオープン?」


 冗談半分で呟いてみた瞬間、視界の端に青白いウィンドウが浮かび上がった。


―――――――――――――――

名前:レイン・ローレン

年齢:10歳

職業:村人A

スキル:全スキル所持

―――――――――――――――


「……は?」


 一瞬、自分の目を疑った。


「全スキル……所持?」


 おかしい。普通、スキルってのは一つか二つ持っているものだろう? しかし、俺のステータスには「全スキル所持」と、まるでバグったゲームのような文字列が表示されている。


 その瞬間、脳内に膨大な情報が流れ込んできた。


「うわぁっ……!」


 思わず頭を抱えた。剣技、魔法、錬金術、暗殺、建築、料理、医術……あらゆる分野のスキルが頭の中にあった。まるで一瞬にして何千年分もの技術を叩き込まれたような感覚だった。


「ちょ、ちょっと待て……これ、本当に俺のスキルなのか?」


 試しに「鑑定」を使ってみる。


「鑑定……!」


 目の前にあった木の椅子に意識を向けた瞬間、詳細な情報が頭に流れ込んできた。


――――――――――

名称:木製の椅子

材質:オーク材

製作技術:初級大工

耐久値:45/50

――――――――――


「うぉ……! 本当に鑑定できる!」


 さらに、「火球ファイアボール」と呟くと、小さな炎の球が俺の手のひらに生まれた。


「やば……これ、本当に全スキル持ってる……!」


 だが、すぐに冷静になる。もしこの異常なスキルが他人に知られたら、どうなる?


 この世界がどういう仕組みで動いているのか分からないが、スキルは貴重な力であり、強力なスキルを持つ者は貴族や王族にとって脅威になる可能性がある。そして、歴史上そういう者たちがどう扱われるかは、俺の知る限りどの世界でも変わらない。


(支配者層に目をつけられたら、最悪処分されるか……利用されるだろうな)


 考えただけで寒気がした。俺はただの村人Aとして生きるはずだったのに、このままでは平穏な生活は望めない。


(なら、スキルのことは隠すしかない)


 慎重に生きなければ、自由を奪われる可能性すらある。


「……面白くなってきたじゃねぇか」


 そう思いながらも、まずは状況を確認するべきだろう。


 俺が寝ていた簡素なベッドのそばには、小さな木製の机があり、その上にパンと水が置かれていた。腹が減っていることに気づき、手に取る。


「……うまい」


 シンプルな味だが、どこか懐かしさを感じる。食事を終えたところで、扉の向こうから足音が聞こえてきた。


 コンコン、と控えめなノックの音。


「レイン、起きてるか?」


 優しげな男の声がした。どうやらこの家の住人らしい。


「は、はい」


 少しぎこちなく返事をすると、扉が開き、髭を生やした中年の男性が姿を見せた。シンプルな布の服を着ており、いかにも田舎の村人といった風貌だ。


「よかった。昨日は熱を出して倒れていたからな……心配したぞ」


「えっ?」


 どうやら俺はこの世界に来る前に、熱を出して倒れていたらしい。


「まあ、元気になったならいい。レイン、お前もそろそろ手伝いをしてくれるか?」


「手伝い、ですか?」


「ああ、今日は薪割りを頼みたい。もう十歳なんだから、そろそろ村の仕事を覚えないとな」


 そうか、俺は今、十歳の子供なのか。


(とりあえず、この村の生活に馴染むことから始めるか……)


「わかりました!」


 俺の異世界ライフが、本当に動き出す——。


 村の広場に出ると、朝の陽光が眩しい。家々は木造で、長閑な田舎の風景が広がっている。村人たちはそれぞれの仕事に勤しんでいた。


「おはよう、レイン!」


 元気な少女の声が響く。振り向くと、金髪の少女が駆け寄ってきた。俺と同い年くらいだろうか。


「おはよう……えっと?」


「もう! 忘れちゃったの? 私はエマよ!」


 こうして、俺の村人ライフが本格的に始まった。だが、このスキルを隠し通せるだろうか……?

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