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Shadow Game  作者: うえだじろう
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プロローグ 『朝はパン』



 ――二〇二四年 四月六日 午後六時二十四分――



 江口 当夏(とうか)はゲームのオフ会の帰り、ガタゴトと揺れる電車の中、女子高生二人組の話声で目を覚ました。


「――ねぇ知ってる?呪いのアニメ」


「何それ、なんかのB級映画?」


「違うよー。今オカルトをメインでやってるディズコードのサーバーがあるんだけどね!そこで紹介されたやつ。結構有名だよ。ツイットーとかでもちょくちょく拡散されてたり、登録者百万人いるオカルト系のユーツバーとかも検証動画上げたりしてるの。」


「うっわ、胡散臭ー。何あんたそういうの好きだったんだ。」


「も―茶化さずに聞いてよー。なんとそのアニメを見ると中に引きずり込まれちゃうんだってー。怖くない?」


「……はあ、引きずり込まれるとどうなるのよ。」


「え……それはー、あれだよあれ。なんかいいことあんじゃん?」


「うわー……。」


「そんなことより米津剣氏(よねずけんじ)の新曲さ――」



『次は品革、品革。お出口は右側です。新幹線、東海道線、横豆賀線、京急線はお乗り換えです。』


『The next station is Shinakawa, JY25. The door on the right side will open. Please change here for the Shinkansen, the Togaito Line, the Yokozuka Line, and the Kyokyu Line.』


 少しして電車が止まり、ドアが開く。


「あっじゃあ続きはまた明日ね!」


「えー続くのー?じゃ、また明日ねー」


 当夏もゆっくりと座席から立ち上がり、電車から降りた。


 時間は既に六時を超えており、日が沈み始め、辺りは暗くなり始めていた。


 帰る途中コンビニに寄り、ピザポテチとミソクンを買い、家に帰る。


 家の玄関の扉を開け、家に入ると玄関には誰の靴もなく一人きり。両親は共働きで、帰ってくるのは決まって夜十時以降だ。


 洗面所へ行き、手を洗い、リビングにあるポットで湯を沸かし、先程買ってきたカップ麺をリビングの机に置き湯を入れる。


 やることもないのでテレビをつけ番組表を見るが――


「クイズ番組に音楽番組、食べ歩きロケ番組……。」


 つけてみたはいいものの、見たい番組がなく仕方なくニュースをつける。


『――明日は午前は晴れ、午後からは雨となるでしょう』


 椅子に座り、カップ麺の時間を待たずして食べ始める。所々硬さが残っておりその食感が何とも良い。


 カップ麺を早々に食べ終え、風呂に入ったあと部屋に向かう。



 ――二〇二四年 四月六日 午後九時二十一分――



 部屋は七畳の広さで部屋には32型のテレビが一つにベッド、ゲーミングpcの機材類が置いてある。


 PCには目もくれずベッドにダイブ。


 明日からまた高校生生活が始まる。遅刻なんてしたらボッチ確定なのでは今日は早めに寝ることにした。


「呪いのアニメって……なんだそりゃ。」


 ふと女子高生たちが話していた言葉を思い返す。B級映画のような名前。


 ベッドから起き上がりテレビをつける。基本アニメしか見ないのでアニメを放送している曲で固定されている。


 ――あ、なろう原作のファンタジーのやつ……。


『この世界は魔王によって攻め込まれ――』


「作画と脚本には期待できなさそうだな。ツイットーで原作、漫画は面白いとか擁護されるパターンのやつか……。」


『助けて!!』


 アニメの中で少女が暴漢たちに襲われるシーン


『っわぁ!?な、なんだこれ。どこだよここ!?』


『……なんだいきなり?おいお前ら!殺っちまえ!』


 突然画面の中にその世界には似合わない風体の男が現れた。眼鏡をかけ、ボサボサ頭、中肉中背の見た目で服装はパジャマだ。


『っがあああああ!いだいいだいいだいいだい!!!だれがだずげ――』


 血をまき散らしながら男はあっさりと殺された。


「……あれ、これ異世界転生ものじゃないよな。」


 スマホで確認してもやはり異世界転生ものではなくただのファンタジー世界を題材にしたアニメの様だった。


『…………。』


 スマホに集中していたせいで気が付かなかったが先程のシーンを最後にテレビから音がしないことに気が付く。


 顔を上げると画面がそこで停止していた。


 「なんだ?故障?」


 テレビのリモコンでチャンネルを変えようとしても何も反応しない。つまりは故障か電池が切れたか。


 予備に置いてある単三電池をリモコンにセットし操作しようとするがやはり反応がない。


「リモコンも故障してるとか……。」


 念のためテレビの横にあるボタンで操作を試みる。


 するとテレビの電源が落ちる。もう一度付け直すと今まで通りアニメの続きが流れていた。


『そこまでだ!君!けがはないかい?』


 騎士の風体をした男が先程襲われていた女の子を助けていた。


 辺りには暴漢たちが倒れていたがふと異変に気が付いた。


 ――あれ、さっきの男がいない。


 先程テレビに映っていた男はもう既にどこにも描かれていなかった。


 次の日に備えその日はもう寝ることにした。



                  ―――――――



 ――二〇二十四年 四月七日 午前六時三十一分――



「あらおはよう当夏。今日から二年生だっけ。」


 リビングに行くと髪を肩までに切りそろえスーツを着た母がいた。


「高校生活なんてあっという間だからな!勉強もだがしっかりと遊べよ。」


 コーヒーを飲みながら父が新聞を広げていた。


「わーってるよ。」


 家族仲は比較的良好で、夫婦喧嘩などとは無縁のいい両親だと息子ながら思う。


『次のニュースです。』


 机の上には朝食が並べられており、椅子に座り、置かれてあったパンにイチゴジャムを塗り、ニュースを視界の端に映しながら食べ始める。


『昨日夜九時頃、都内のアパートにて東京(とうけい)大学院生の古谷 忍さん 二十三歳 男性 が部屋の中で刃物のようなもので殺されているのが発見されました。通報者は不明で、警察は通報者を重要参考人であるとみて捜査を進め――』


「?当夏、どうかしたの?」


「腹でも痛いのか?倒産後でトイレ行くから先済ましとけよ。」


 気が付くとパンを食べる手が止まっており、視線はテレビに釘付け、ニュースに映っていた顔写真に見覚えがあったのだ。


「なんで…………。」


 ニュースの画面に映し出されていたのは昨日観たアニメの中で殺された男だった。


『――続いては今日の運勢のコーナーです!』



こちらの作品は気分での更新になるので平気で二日三日、一か月開くかもですがよけrば見てください。

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