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後編

(やばい……散らかってる。)


 私はTwitterを閉じて目の前の現実と向き合っていた。先輩が来るまでに40分……出来れば渋滞しててくれと願うけどもう21時を回っているから期待は出来ない。


「と、とにかくゴミを集めて……あと洗濯物を洗濯機に……」


 やる事を口に出しながら私は手を動かす。しかし、天は私に味方してくれなかった……


ピンポーン……


「えっ?」


 私は返事をして玄関を確認すると……


「えっ!せ、先輩!」

(嘘だ!まだ20分しか経ってないぞ!)


 私は絶望の中玄関の扉をゆっくり開けた。そして先輩の顔はいつも通りだった。


「あ、あの……まだ掃除が出来て……」

「そうか、ならば一緒に片付けよう。」


「ええー!」

「今日は驚いてばかりだな。」


 クスクス笑っている先輩が小悪魔に見える。そんな私を他所に部屋に入ってしまう先輩。


「……」

「あ、あの先輩。これはですね……」

「葉桜……アンタって子は……」


 そう言うと先輩は私の首にヘッドロックをかけた。そして……


「なんでこんなに汚いの!」

「うぎゃー!パワハラだー」


 私の頭をグリグリしてくる。しかも相当痛い!


「何言ってるの!純粋な躾よ!」

「だって!いきなり来るなんて言うんですもん!片付けなんてしてませんよー」

「それでも限度があるでしょーが!」


 先輩の言う通りである。カップ麺のゴミなんかもまだ捨てておらず布団も万年床状態。洗濯物は土日に纏めて洗うからそのまま……Gもちょくちょく出ててもう見慣れてしまった。


「全く!じゃあ服着替えて、外で話しましょう。」

「……はい」


 先輩のグリグリからようやく解放させられた私は着替えて先輩の車に乗り込んだ。流石に酔いも覚めてしまっている。どうしてこうなった?






「あの……いつ私のフォロワーになったんですか?いや、何処で気づいたのですか?」


 車の中で無言は気まずいので話しかけた。


「たまたまだ。たまたま入ったスペースに君がいた。それからは君をフォローして入ってるスペースで聞いていた。」


「……ストーカーに近いですね?」

「ふふふ。そうだな。だが、私も見ての通り同性愛者百合だ。そして前から狙ってた君が百合と聞いてしまったら告白するしかないだろう?」


 つまり執念が身を結んだというわけだ。


「それにしても葉桜は真面目なのにズボラだよな。」

「うっ……そうですか?」


「普段のデスク周りを見て片付けが出来ない子だとは勘付いていたが……まさかあそこまでとは……」

「幻滅しました?」


「まぁ……ね、でも調教のしがいはありそうだ。」

「えっ?」


「私はね。こう見えてドSなんだ。」

(いや、こう見えても、ああ見えてもドSですよ!)


 なんて言えないよね……


 見た目からして美しいお姉様気質の先輩だ。これでMの方が驚きだよ。そうして先輩はコンビニで車を停めた。


「飲み物を買ってくる。お茶でいいかい?」

「は、はい。あっ、いえ一緒に行きます!」


 先輩に買わせに行くわけにはいけないのでついて行くことにする。車から出ると先輩は私の横に並んで手を繋いできた。


「せ、先輩?」

「良いじゃないか、もう22時を過ぎている。」


 私は顔を少し赤らめた、恥ずかしいより嬉しいからだ。


「あの、お金は私が!」


「何言ってるの、後輩に奢らせる先輩はいないわよ!」

「でも、運転して頂いてるので!」



「あら、私の言う事が聞けないのね……」

「うぅ……ありがとうございます。」


 結局気おされてしまいました。そうして車に乗る時は手を離す。先輩の手の温もりが残ってるのが嬉しくもあり寂しくもあり……複雑な気持ちだった。


 そうしてしばらく車を走らせると町では有名な湖にきていた。私たちは車から降りて湖の畔まで歩いてきていた。


「じゃあ葉桜、返事を聞かせてくれないか?」

「は、はい!えっと……こんな私でも良いんですか?」


「何を言っている。君だから良いんだ。」

「でも、私、仕事は出来ないし、掃除も出来ないし、料理は下手だし、可愛くないし……」


「ふっ……そんな事か。仕事なんてどうでも良い、出来なければ私がいる。掃除は私もこれから暮らすんだ君を躾ながら片付けるさ料理は一度食べたが美味かった。そしてしほ、君は可愛いよ。」


「ほ、誉め殺しですか?」

「本当の事だ。」


 ここまで褒められたのにNOなんて言えるはずがない。


「こんな私で宜しければ……よろしくお願いします!」

「ありがとう!」


 そうして先輩は私を抱きしめてくれた。


「はぁー……緊張した。」

「先輩でも緊張するんですね。」


「あぁ、これまでのどのプレゼンより緊張したよ。」


 私は先輩の背中をさすった。今先輩の顔は見えないけどホッとしてるのが分かった。


 そうして抱きしめてた腕を少し緩ませて距離をとって今度はキスをした。そしてその後は何も言わず私たちは車に戻った。



「というわけで、みなさん!私たちは付き合う事にしました!」


『うわー!おめでとう!』

『おめでとう!』

『羨ましい!』


 2日後。Twitterでこの事はご報告した。何故2日後なのかはあの後土日はお泊まりデートをしておりTwitterを開かなかったのだ。


『それでもうやったの?』

「ノーコメント!」


 そこは皆さんのご想像にお任せします。とにかく私の百合の日常はここから始まりました。


                      終わり

最後までお付き合い頂きありがとうございました。もし評価が良ければ連載に持っていきます。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

宜しければ連載中の作品も読みに来て下さい!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 羨まし過ぎる 最高でした今日の百合成分補充できました ありがとうございます
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