第14話 誤算
クレアの犠牲で壁の進行は止まった。
私達には未来はないけれど、今の時間だけは幸せに生きられるはずだった。
でも、誤算があった。
平穏が途切れてしまった。
「歌魔法の力がかき消されてるですって!? どういう事!」
クレア一人が犠牲になる事を許さなかった一部の住人が、クレアの魔法を妨害しているらしかった。
私は歯を食いしばる。
クレアがどんな気持ちで犠牲になったかを想像すると、悔しい。
私だって辛かったのに。
子供みたいな、我が儘言わないで。
皆救う方法なんてあるわけないじゃない。
私達は、そんな事をしている彼等を説得しなければならない。
説得できな方場合は、排除しなければならないだろう。
オルタはそんな私を見て「キャロ、行こうぜ」そう促した。そして「本当は気休めとか言えたら良かったけど、そんなの嘘っぽいだろ」そう言って続ける「大丈夫だ、キャロだけが背負うんじゃない。俺も一緒にいくからさ」と。
私は「オルタ」彼にしがみついた。
泣くまいと決めていたけれど、泣いてしまいそうだったから。
せめて泣き顔を見られないようにした。
オルタがぎゅっと私を抱きしめてくれる。
「必ず守ろうぜ、俺達の世界を」
「うん」