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第10話 華音、火音、芯音
音魔法は、異なる性質の音を組み合わせて使う魔法だ。
人の声を中心とした華音と、楽器で奏でた火音、そして自然が奏でる木の葉の音などを中心としたのが芯音だ。
人間が意識して、出来るのは華音と火音だけ。
偶然の産物で、効果を発する芯音は、莫大な力をもたらしてくれるけど、人間が狙ってできる物じゃないから論外だ。
とにかく、私達は毎日自警団の一員として、音魔法を行使しながら蝕と戦っていた。
本当は戦うのなんて好きじゃないけれど、私の住んでいる町にはたくさんの人がいるし、オルタだって守らなくちゃいけない。
だから、私は今日も音魔法を使う。
でも、もし他の大勢の人かオルタか選ばなけれなならなくなったら……。
何でもできるヒーローなんていやしない。
私はどちらか一方を犠牲にしなければいけないだろう。