村娘です。料理大会に出た私の決勝相手は勇者様?唸れ秘技、主婦二刀流!(村娘五人目)
「さぁ、やって参りました。第537回王都料理王決勝戦。今回の決勝戦は異例の人物達でございます。なんと今回初参戦にして、決勝戦進出者はなんと、ど田舎村娘と勇者様だぁーー」
そぅ、私こと村娘は、決勝に勝ち進んだ。
決勝戦の舞台は外で行うことが昔から決まっているので、準備は万端である。
数々のゆで卵と、トマトケチャップをあやつり、私はついに決勝の舞台にあがったのだ。
だが、決勝戦の相手は数々の魔王を倒した勇者。
これもまた異例、ただ者ではない。
勇者がどんな料理で私に仕掛けてくるのか?
考えただけで、よだれものね。
これまでの勇者の戦いは場所が違って見ていないけど、いりごまのロザリーを倒した相手、そう簡単なレシピではないだろう。
私は勇者と対面した。
「君が俺の相手かい? 悪いが料理でも俺が伝説さ」
クッ。
顔までよだれものだ。
だが、私は負けられない。
妹に約束したんだ。
メスブタちゃんこを食べさせるってね。
「宜しくお願いします」
舞台は整った。
後はやるだけだ。
ふぅー。
外で作る料理は解放感があっていい。
カンッ。
開始の合図。
私はすぐに取りかかろうとした。
だが、目の前の光景に動けなくなってしまった。
ば、バカなっ。
対峙する勇者は動こうとしていない。
制限時間が十五分しかないのにだ。
まさか、私を誘っているの?
もっと短い時間で勝負だと……。
もしくは、私に時間などかけずに勝てると。
「何だー! 勇者が持ってきたのは生きた魔物だー」
大きいブタ? の魔物が出てきた。
ま、まさか…………。
「俺はこれだけさ。村娘ちゃんっ。雷神剣ーーーっ」
魔物の表面だけでなく、電撃により内側、外側へと火を通すと言われる伝説の勇者の剣。
普段はあまり知られていないが、料理通の都市伝説と言われた技だ。
魔力の調整が難しく。
むらが出やすい雷神剣とは。
さすが、勇者。
料理の腕も冒険者だ。
なら、私も負けていれない。
全力で相手をしよう。
私は包丁を二刀、空中になげた。
おばーちゃん直伝。
くるくるくるーパシッ。
家族二刀流。
「おぉーっと、村娘が果敢にも包丁を二つ持っているぞーっ。あれは伝説の夫婦二刀流か? お父さんのパワーを右手に宿し、お母さんの技を左手に込めると言われている伝説の料理かぁー」
解説さん、まだまだ甘いね。
これは夫婦二刀流の先、家族二刀流。
右手と左手の間、そう、子供よ!
いくよっ。パパ、ママ、ベイビー!
「おぉーっと村娘が素早い包丁捌き。空中で野菜が細かく、しかし均一にカットされていくぞー」
玉ねぎを切りながら涙をトッピング。
温まったフライパンにラードを入れ、野菜達を入れる。
えび、ブタ野郎を入れ、卵を落とす!
そして米を入れ、まぜあわせれば……。
焼き飯。
だが、ネギをいれず、ここからトマトケチャップをいれオムライスへと昇華させる!
…………間に合った。
「ここでーっ。ターイムアッープ」
やれるだけやったは。
勇者よ、初めてあなたに敗北を味あわせてあげるは。
「判定の結果勝者は」
ゴクリッ。
「なし」
???
「料理に涙入れるってバカなの? きたねーし。勇者も焼いて切り分けもせず出すとか料理じゃねーし」
…………。
ウソでしょ?
完
すみません。
後から読み直したら面白くなかったね。
短編村娘五人目でした。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
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では。
コメディーに祝福を




