転生
⒈転生
「おぉーーー!姫がお産まれになったぞ―――!」
この日、セル大国に、王女が産まれた。名はレイミーという。
この国の伝統で、三人の魔女が、王女が生まれた日に、将来王女がどんな風になるのかを言う。
一人目の魔女が前に出てきた。
「おぉ!なんと!今回の王女様は世界一美しい女性になるでしょう!」
「うおーーーー!」
続いて、二人目の魔女が出てきた。
「おぉ!なんと!素晴らしい!今回の王女様は世界一賢い姫になるでしょう!」
「うおーーーー!」
最後に三人目の魔女が出てきた。
「私はまとめて言わしてもらいます。今回の王女様は生まれ変わっても、どんなことがあっても史上最高の王女様になるでしょう!」
「うおーーーーーーーー!」
~十年後~
「まぁ見て!今日も王女様は美しいですわ!」
レイミーの侍女たちが遠くから話している。
バババッ!
「なぁに?わたしのわるぐち?」
「王女様、耳も良いのですね。私たちが王女様の悪口を言うわけがないじゃないですか。今日も王女様が美しいという話しをしていたのですよ。」
侍女の一人がキッパリと言った。
「ほんと?」
「はい!」
「ほんとのほんと?」
(あぁ、天使だわ。)
「はい!ほんとのほんとですよ!」
「そういうはなしはちょくせついってくれたほうがうれしいな!」
そう言い、レイミーはニッコリと笑った。
「は、はい!」
そこにいた全員が(ヤバイ、この王女様クソ可愛い。)と思った。
「ルーイ、おにわにいきたい!」
ルーイはレイミーの侍女頭だ。
「いけません。王女様。」
「なんで?」
「今は夏なので、肌が焼けてしまいます。」
ルーイが侍女頭に選ばれた理由は、こういう感じだからだ。
「おねがい!」
キラキラキラキラ~
「わ、分かりました。少しだけですよ。」
さすがにルーイでも、レイミーのキラキラビームには勝てなかったようだ。
「ヤッター!ルーイだぁ~いすき!」
キュンッ
ルーイからこんな音が聞こえた気がしたが、無視しておこう。
「おひさまポッカポカだねぇ。」
「はい、そうですね。」
その後、少しの間、沈黙が続いた。
「よしっ!ルーイ、おにごっこしよう!ルーイがおにね!よーいスタート!」
「えっ、ちょっ待って下さい!」
レイミーが走り始めた。
「ルーイこっちこっち!」
「あっ!王女様、そっちは‼」
「ん?」
そう言われてレイミーは前を見た。
バシャンッ‼
その瞬間、レイミーは湖に落ちた。
「王女様‼誰か!誰か!王女様が湖に落ちました‼」
(ああ…ルーイ、くるしいよ。くるしいよ。こんなことになるなら、いうこときいて、おにわになんてでなかったらよかった…)
もう、レイミーの息は、ほぼなくなった。
(もっかい、いきたいな。)
「・・リア!サミリア!」
(だ・・れ?なんかききおぼえのあるなまえだな…。)
「目を覚ましたのね!サミリア!」
(そうだ!私が大好きだった「白馬の王子様と平民ちゃん」っていう小説の悪役令嬢だ!)
※ここから元レイミーの言葉が漢字になります。
(そ、それじゃぁ、私は「白平(白馬の王子様と平民ちゃん)」の悪役令嬢に転生してしまったってこと⁉
そんなこと聞いてないわよ!魔女~‼)