95.新事実です!
私達は大広間に戻った。
「──もし分からないところがあったらアイリーンかコーリー、もしくは俺に聞いてくれ」
「分かりました。ビケット王子様、ありがとうございました」
私はジェリーを探しに別邸探検とする。一人で。
「いないなー」
しかし広いな。そういえば我が家にも別邸あったっけ。冬休みはそこで過ごすのもいいな〜。
「て、そうじゃない! ジェリーは?」
探せど探せどいない。仕方ない。あなた手を使うか。
私は一旦庭に出る。
「ちょっと出てきて」
そう言うと、どこからともなく護衛部隊が数人現れ、膝をついて頭を下げている。
「どうなさいましたか、お嬢様」
「ジェリー知らない? 探してもいないの」
「お嬢様専属のメイドでございますね。その方なら地下の食堂に向かっておりました」
「分かった、ありがとう。もう仕事に戻っていいよ」
「はい」
私は聞いた通り階段を降りる。
「ジェリーいる? って、いないか」
しかし、地下も部屋多いな。食堂だし、うちと同じく扉が特別大きいところだよね〜。
しばらく探していると、後ろから肩を掴まれた。
「ふぃえええ!」
「あっはは、マードリア変なの」
「チコ。来たんだ」
「アイリーン様達とちょっとお出かけ。食器足りなかったから。マードリアは何してるの?」
「ジェリー探してるの」
「ジェリーさんならさっきすれ違ったよ。マードリアが変なところ歩いてたから見つけられなかったんだよ」
「変なところじゃないよ。チコはどうしてここに?」
「ガーラがマードリアはどうせ変なところ行ってるから地下探してこいって」
ガーラめ。
「ガーラって何気に過保護だよね。ボクは気にしてないけど一応、ていうのが多いし。それにガーラこの前──」
戻っている時ずっと、チコはガーラの話ばっかだ。なので少々おちょくりたくなる。
「チコってガーラのこと好きでしょ」
「え、あ、な、なんで!?」
「チコってずっとガーラの話してるから」
私はそんなことないよって言葉を待っているのだが、一向にこない。
それどころか、私が今までで二回見た顔と限りなく近い顔をしていた。おやおやおや?
「え、ほ、本当に好きだったの?」
「最悪」
「ごめん、チコ。そんなつもりはなかったの」
「マードリアに言ってないよ。でも、ガーラ、ううん、他の人にも内緒にしていてね。まあ、レンちゃんには気づかれているかもだけど」
「もちろん。約束するよ」
「お願いね」
「神に誓って」
私達は指を交わしてみんなの元に戻った。
私を見つけて早々、お兄様が抱きついてきた。
「リア〜、どこか行く時は僕に一声かけて。地獄でもどこでもついていくから。でも、リアが地獄に行くことはないから安心して」
話飛躍しすぎだよ、お兄様。
「私が先に死んでも絶対後を追わないでくださいね。悲しみます。あと、ジェリーを探していたのです」
「私をですか?」
上の階からジェリーとガーラが一緒に降りてきた。
「マードリア見つけたんだ」
「うん。アイリーン様達は?」
「リリー達と一緒に庭を探してる」
「一体みんな私をなんだと思ってるの」
「もちろん、リアは天使だよ〜」
そういう意味じゃないよ、お兄様。
「あの、それで私に用とはなんでしょうか」
「チコ、おいで。お兄さんも、みんなにマードリアが見つかったって報告しにいくの手伝ってください」
「そうですね。皆さんを安心させましょう」
ガーラが空気を読んでくれたおかげで、私はジェリーに気兼ねなく聞ける。
書き溜めが残り少なくなってきました。
ガーラは根は優しい捻くれ者だから、そこを理解していれば登場人物の中では一番一緒にいやすい。
逆にチコは一番面倒くさい。




