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82.覚悟を決めます

 馬車はゆっくりと進み始め、ブライト家の馬車も後に続く。


「で、部活だっけ? 入ってるわけないじゃん。面倒くさいし、チコがいちゃ新たなコミュニティ開発できないでしょ」


でしょうね。思った通りだよ。


「ちょっと、一言余計だよ」

「嘘は言ってない」

「むー」

「ガーラちゃん、人が嫌がることは言っちゃダメだよ」

「そんな事言ってくれるのはレンちゃんだけだよ。どうしてあたしのペアはレンちゃんじゃないの。ガーラじゃなくてレンちゃんが良かった〜。マードリア、交換して」

「え、いや、ガーラは遠慮しとく」

「酷っ! こんなに優秀なのにまるで良いところがないみたいじゃん!」

「ガーラちゃんは良いところたくさんあるよ」

「やっぱりレンは分かってくれる」


うんうんと頷いているガーラをチコは冷ややかな目で見る。


「ガーラ、お世辞って知ってる?」

「まあ、調子良いのはガーラらしいけど。ほんと、ガーラは昔から変わらないね」

「ボクのこの性格はマードリアに会う前からずっとだよ」

「あ、また!」

「え、なに!?」


チコはムッとしながら私とガーラを指す。


「ガーラもマードリアも、そうやってたまに特別アピールする! 二人とも一体なんなの!」

「人間だけど。見れば分かるじゃん」

「そーじゃない!」

「チコ様は、マードリア様とガーラちゃんが以前から知り合いだったかのような言い回しが気になっているのではないのでしょうか?」


あっ、ついやっちゃった。


「去年も昔だしね」

「アイリーン様ならそれで終わらせられるけど、このチコ様には通じないよ。二人とも、ずっと何か隠してるでしょ。そもそもあんなによそよそしかった二人が、たった一度の話し合いで今みたいに仲良くなって、絶対おかしい!」


うっ、痛いところつかれた。どうやって誤魔化そう。


「それは──」

「そりゃコミュ障基準だとそうでしょうね」

「絶対違う! ガーラだって──」

「チコ様、その辺りにしましょう。お二人が自ら言うのを待ちましょう。言いたくないのでしたらそれでいいじゃないですか。発言を強制する権利は、平民だろうと貴族だろうと、決してありません。そう思いませんか、チコ様」


チコはレンちゃんの言葉に落ち着きを戻したのか、深呼吸をした。


「そうだね」


なんとか丸く収まった。そう思っていたが、ガーラが反応した。


「レンは、いつから気づいてたの?」


ガーラは驚いた表情ではなく、この事を分かっていたような顔で、レンちゃんを真っ直ぐ見つめていた。


「確信したのはガーラちゃんが今聞いてきたから。気づいたのはいつだろう? 今までの積み重ねだと思う。でもたぶん、最初のきっかけはガーラちゃんと初めてあった日」


なんとなく、レンちゃんとガーラの会話の内容が分かる。レンちゃんは鋭い。ほんの少しの違和感も見逃さず、私達にぶつけたりする。


「そっか。ねえ、マードリア。もういいよね」

「…………」

「ボク、思ったんだよ。お兄さんが知っていたって分かった時。教える事で、知らせる事で、ボク達の力になる。誰も無茶をしないんじゃないかって。ボクはもう、誰も追い詰められてほしくない。それに前聞いたじゃん、なんで隠してるのか。その時マードリア、何も答えられなかったじゃん。それって、特に理由無かったんでしょ」


たしかにそう。私がずっと言わないでいたのは、異世界のお約束。あと、マードリア・フレーバに申し訳なかったから。うん、もう良い。お兄様もレンちゃんも知ってる。なら、もうみんなにバレるくらいなんてことない。

この章書いてるとガーラの好感度めちゃくちゃ上がります。

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