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6.まさかの人です!

 そんなこんなで私達はクラスに入る。

二年生のクラスは一年生のクラスよりも少々豪華だ。なんたって席が柔らかいのだから!

これであの硬い椅子から解放されると思うと感慨深いな〜。


「そういえば、担任って誰なんだろう?」

「去年の担任の繰り上がりじゃない?」

「あの先生は一年生担当よ。だから新しい担任の先生がくるはずよ」

「アイリーン様よく知ってますね」

「一年生最後の日に先生が言っていたじゃない。チコもマードリアもいたでしょう」


あーそういえばそうだった気がする。お兄様への贈り物の出来が楽しみで全然頭に入ってなかった。


「仕方ないよ、その日が終わればもう授業受けなくて済むんだもん」

「こんなんでも余裕で上位の成績取れるんだから羨ましいよ。少しぐらいボクにその頭脳譲ってくれたらいいじゃん」


ガーラは机に突っ伏して文句を言っている。


「そういうガーラさんも、チコ様のペアになれるほどの頭脳をお持ちではないですか」

「学年一位に言われたくない」

「……えーっとその、申し訳ありません」

「ガーラ、リリーをいじめないの」

「学年三位にも言われたくない」

「そういうガーラも学年六位じゃん。普段から努力しないでその点数取れるだけましじゃん」

「そうだよガーラちゃん。私でよければ力になるからそんなに落ち込まないで」


ガーラはレンちゃんをじっとみるとため息をついた。


「どうしてボクは貴族じゃないんだろうか。ボクもペアはレンがよかった」

「何言ってるのガーラ、ここにレンちゃんと同じくらい優しいチコ様がいるでしょう」


ガーラはチコを見ると肘をつく。


「理想と現実はこんなにも違うのか」

「それ、どういう意味?」

「さあね」


また言い争いが始まってるよ。知らない人から見たら口喧嘩だけど、もう散々慣れた私達にとってはいつもの仲良いコミュニケーションだ。


 そんなこんなでわいわいしているとエンス先生がやってきた。


「全員席に着いてるな。なら私の紹介からさせてもらう。

Sクラスの担任になったシュリーム・エンスだ。去年のSクラスとAクラスは魔法実技の担当をしていたから知っている者も何人かいるだろう。というかほとんどだな。その中でB、C、Dクラスから成り上がってきた者、祝福の言葉を送らせてもらう、おめでとう。

──さて、それじゃあこの私がSクラス担任になった以上落第は絶対に許さない。分かったな」

『はい』

「こりゃ本当に落第できないよ。やだな〜順位落としただけで怒られそうだ」

「なんだアウダー、何か聞きたいことでもあるのか?」


ガーラは一瞬目を泳がせるとすぐに真っ直ぐエンス先生を見た。


「担当教科はなんですか?」

「いい質問だ。担当教科は昨年に引き続き魔法実技を、そして今年からは新たに剣術を教える。剣術は昨年まで一人、教師をも圧倒する化け物クラスの男子生徒がいたんだ。だが正直そこまで望んでいないが、しっかりと取り組めよ」


お兄様だな。なんとなく分かるよ、ビケット王子様が本気出しても勝てない人間だもん。


「他には何か聞きたい事があるやつはいるか? いないみたいだな。それじゃあ全員一人ずつこの箱から紙を引け」


 みんな不思議に思いながら紙を引いていく。もちろん私もだ。


「三十八?」

「ボク三十二」

「一体なんなのかしら? みんな違うわね」

「席決めとかでしょうか?」

「えーでも去年なかったよ」

「担任の先生によって変わるのではないですか?」


私達だけでなく他の生徒達も困惑している。


「よーし全員引いたな。それじゃあ紙と同じ番号が浮き上がっている席に着いてくれ」


みんな未だに状況が掴めておらず、恐る恐るといったところだが、私達はレンちゃんとリリーの発言により、なんとなく予想がついている。

しかし、三十三番の人は四十三の人よりも距離が近いな。


「あっ」

「ん? あ、あなた!」

「無事にSクラスに来れたんですねクレア様」


明らかに嫌そうな顔を浮かべるクレア様。正直私としても心配ではあるが、まあ大丈夫でしょう。


「あなた方よりも下のクラスになんていられるわけないですわ。昨年は少々調子が悪かったから、Aクラス落ちてしまっただけなのだから」

「それはそれは」

「本気にしていないわね」

「さあ、どうでしょうか。まあそんなことはどうでもいいですけど、悪質な意地悪はしないでくださいよ。私もそんな幼稚な事に付き合うほど暇ではないので」

「まっ、なんて物言い。私がそんな印象を下げるような事するわけがないですわ」


しょっちゅうしてきてるじゃないですか。


「何か文句でもあるのかしら?」

「いえ〜別に〜」

「気色悪いわ」


クレア様、その態度は少々傷つくます。


「よーし全員席に座ったな。いいか、今日からその近くに座っている隣の者がペアとする。一年時はまだ交友関係が確率していないから自由にペアを作っていいという事になっているが、二年からはもうほとんど交友関係ができている。さらに、成り上がってきた者もいる。その者にとって、ここから新たに交友関係を広げるのは辛い者もいるだろう。

そういうわけで、二年からはこのように席が隣の者とペアになってもらうわけだ。四人組の時などもその都度指定させてもらう。

席替えもテスト後にやる予定だ。それまでは隣と仲良くな。それでは解散とする!」


エンス先生の解散と共に終了の鐘が鳴る。


「という事みたいなので、しばらくの間よろしくお願いしますねクレア様」


クレア様はそれはそれはとても立派な嫌そうな顔を披露してくださいました。

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