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75.久しぶりの再会です!

最初ガーラ、途中からマードリア視点

 食事が終わってもまだマードリアの方を見てる二人がだんだん面白くなってきたけど、それを楽しんでいるわけにはいかない。


「はあ、帰るか」

「え、まだ二人は帰らないわよ?」

「いつまでつけるのさ。お兄さんでもそこまでしないよ。お兄さんでもしない事をボク達がしていたってバレたら、マードリア引くよ。お兄さんの言動にすら頭抱えてるんだから。それに、フーリンは平気でしょ。マードリアが嫌がることはしない。それはマードリアも分かってる。だから帰ろ」

「……そ、そうね。流石にカーター様を越えるのは忍びないわね」

「信用できずにつけましたなんてバレたら、マードリア様も流石に怒ってしまうかもしれません」


お、よく分かってるじゃん。マードリア、自分に対して以上に、仲良い人を悪く言われたりする事に怒る人間だし。


「じゃあ、レンちゃんにお土産買って帰ろ」

「それじゃ、お金はよろしく。ボクとリリーで選ぶから」

「まさか、私達に払わせる気?」

「当たり前じゃん。ボクとリリーは平民。アイリーンとチコは貴族。平民はお金が無くて苦しいんだよ」

「ここはもちろん払うつもりだけれど、レンさんへのプレゼントくらいはわずかでもいいから出しなさい。あなたはともかく、リリーさんが申し訳なく思うでしょう」


まあたしかにリリーはそうでしょうね。でもボクは本当にお金がない。ここは人として最低でもいいから出したくない。


「ええ〜。ボク冗談抜きで厳しいんだけど。お金を稼げるのも長期休暇だけだし」

「学園にいる以上お金は公爵家が出してるし、休日出かけても全部あたしが出してるじゃん。逆にどうしてそんなにお金ないの?」

「チコ様、ガーラさんには事情が……。ですのでその辺で」


リリーが困ったようにチコに進言してる。ボク、家の事誰にも言ってないよね? 


「……あー、リリーは仮でも副会長だから知ってるんだ。てことはマードリアも?」

「あ、いえ、マードリア様は先輩に直接本人の口から聞くように言われたようですので」

「そっか〜」


色々あってタイミング逃していたんだろうな〜。


「ガーラ、もしかして家が闇深かったり?」

「チコには言われたくない」

「あなた、意外と苦労しているのね」

「意外は余計だよ。ボクは見ての通り健気な苦労人」

「さ、マードリアにバレる前に店を出るわよ」

「あ、ちょっと!」


本当にアイリーンはさっさと会計を済まして出ていった。あんなにストーカー続行したがってたくせに。ちょっとくらい何か言ってくれてもいいじゃん。


「ガーラ、結局お金がない理由って?」

「うーん、みんないる時に話すよ」


この後はレンが喜びそうな植物関連の物を探し、寮に戻った。


◇◆◇◆◇


 食事も済み、特に行くところもないのでフーリン様の家に招待された。


「クッキ〜、久しぶりだね。もうおじいちゃんか〜」


最後に会ってから結構経ってるけど、覚えてもらえててよかった。

ただ、フーリン様そっちのけで私に構ってほしそうにくるのは少し申し訳ない。申し訳ないけど、動物の愛嬌には勝てない!


「クッキーは本当にマードリアが好きだね」


私にお腹を見せて撫でられているクッキーを見て、フーリン様は微笑んでいる。


「クッキーにこんなに懐かれるような事してないんですけどね」

「動物に懐かれやすい人は、良い人だとよく言われる通り、マードリアも良い人だからだよ。それに、マードリアとは中々会えない事が分かっているから、今こうして甘えているんだよ」


そうか、だからフーリン様より私の方に来てるんだ。理由は後者だろうけど。


「ですが、それだとフーリン様も中々会えませんよね?」

「中々と言っても、夏と冬から春にかけては家で過ごせるから、マードリアほどでもないよ。クッキーも昔のように、パーティーに参加させる事もできなくなったし」

「クッキー大きくなっちゃいましたもんね」

「立てばフランよりも大きいからね」


あ、そういえばフラン君はいるのかな? ご両親はいないみたいだけど。


「フラン皇子様はいらっしゃるんですか?」

「ああ、いるよ。五歳だからね、やる事といったら体術くらいだから、それ以外の時間は基本自分の部屋にいるよ」


いるなら挨拶したほうがいいかなと思ったが、部屋にいるのならやめておこう。


「そうなんですね。じゃあクッキー、散歩でもする?」


 散歩というワードに反応したのか、クッキーは立ち上がると、尻尾をこれでもかと振った。


「懐かしい。前クッキーを散歩したのは十年くらい前かな。そう思いますと、フーリン様ともかなり長く付き合いがあるんですね」

「そうだね。なんだか不思議だね。ついさっき仲良くなったと思ってたけど、十年も前だなんて」

「学園に入る前はフーリン様にお会いできる機会も少なかったですしね」

「それもそうだね」

「ワン!」


クッキーは吠えたと同時に走り出した。


「うわっ、クッキー待って!」


「ワン!」


 クッキーがもう一度吠えて止まった先には、フラン君がいた。

剣の個人練習なのか、教師が見えない。


「久方ぶりですフラン皇子様。改めて名乗らせていただきます。ドルチエ王国侯爵家、マードリア・フレーバです。鍛錬のお邪魔をしてしまい申し訳ありません。それでは、私はこれで失礼いたします」


フラン君は人見知りだから私がいたらあれだろうし、とっとと退散するが良し。


「あ、の」


 ……気のせいだろうか? 今フラン君に声をかけられた気がする。一度フラン君の方に顔を向けると、フラン君は一度体を硬らせた。


「お、お久しぶりです! マードリア様。フラン・エグラメルです! いつも兄と仲良くしていただきありがとうございます!」


ほ、本当にフラン君なのだろうか? 前からは想像つかない。


「フラン、いつの間に……。立派になりましたね」

「あの、堂々としないといけないから。ラメルさんに好かれたい、から……」


あの数時間でこんなに本気になれるなんて、本当にフラン君は妹ちゃんに恋をしているんだ。なんか、いいな。私は、そんな経験ないから。


「フラン皇子様、頑張ってください」

「あ、ありがとうございます……」

「フラン、僕達はクッキーの散歩が済みましたら学園に戻ります。お父様とお母様をよろしくお願いします」

「はい。お兄様、また会える日を心待ちにしております」

「僕もです。フラン、元気でいてください。マードリア、クッキー、行きましょう」

「はい」


 それからクッキーの散歩も終わり、私達はみんなへのお土産を買って学園へと帰っていく。


「マードリア、今日は僕のわがままを聞いてくれてありがとうございます」

「いえ、私こそ楽しかったです。フーリン様さえ良ければ今度はみんなで出かけませんか」

「そうだね。楽しみにしてるよ。それじゃあ、僕はこっちだから。くれぐれも、一人で部屋に戻らないように」

「わ、分かりました。今日はレンちゃんに頼みます……」

「うん。それでは、また今度」

「はい、お気をつけて」


 うう、ほんとに私の周りは過保護な人が多いんだから。部屋くらい一人で帰れるのに……たぶん。

大抵困った時はガーラがいてくれると安定するので大好きです。

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