58.選挙話
リリーと相談して、とりあえず各学部の教室とか研究室を見せてもらう事にした。
「どの学部にも、必ず教室とは別に部屋があるの。ここは薬学部の研究室。薬学部生と教授、あとは生徒会が入れるよ」
「生徒会ってそんな特権を持ってるんですか?」
「生徒会って、ただ能力を持ってるからってだけで入れないんだ。優れた能力はもちろん、生徒や教授からどれほど信頼を寄せられているかが必要なんだ。
そのため、選挙が一ヶ月間行われる。その年の生徒会だった人が、必ずしも次の年も生徒会になれるわけじゃない。生徒会で少しでも失敗をすれば、周りの目はより厳しくなる。特に、四年生は生徒会長になるわけだから、今までの比じゃないレベルで厳しい。それほど、周囲からの期待と信頼を背負っているから、こういう特権を持つことも許される。ここが、学園の生徒組織とは違うところ。ちなみに、カーターは通常運転。凄いよなー、ほとんど妹の事しか語ってないのに当選できるなんて」
サント先輩、目が死んでますよ。
「あーえーっと、せ、生徒組織も会長と副会長は人柄も見られているよね! だから、生徒会に進む人は必然的に元会長、副会長が多いんだ」
人柄……。お兄様はあのシスコンを見せてもなお、周囲からの信頼を勝ち取ったということか。チート補正怖い。
「あの、選挙という事ですが、それって同じ学園の生徒が多い人が有利になるのではないでしょうか?」
「良いとこ目をつけたね、ホワイトちゃん。そういうことがあるから、同じ学園だった人には投票しちゃダメなようにしているの。でも、それじゃあ票に差が出るんじゃないかって思うでしょ。だから、獲得枚数じゃなくて、率で決めるんだ。そしたら公平でしょ」
なるほどね〜、結構考えられてる。
「ちなみに、フレーバちゃんは選挙でるの?」
「……へ? え、私ですか?」
「そうそう。たぶんフレーバちゃんが出たら当選するよ。相手が皇子様でも」
「え、何でですか?」
「そりゃ、フレーバさんはカーターのせい、う、うん、おかげで、大学内での人気高いから。よほどの事がない限り、カーターが落選する事はないと思うから、フレーバさんが選挙に出るってなったら、自分の事そっちのけでフレーバさんのアピールポイントを言うだろうし」
上手く誤魔化そうとしてたけど、完全にお兄様のせいって言ったよね。あと、普通に想像つく。うん。
「むしろ会長もマードリアちゃんを推薦するでしょうしね」
ああ、してそう。というか、圧かけられてそう。
「一ヶ月もあるのでしたら、マードリア様自身で人気は十分集められますし」
「流石にそれは無理だよ。私お兄様みたいに超人じゃないから」
「いえ、そんな事ありませんよ。入学から一ヶ月でも、マードリア様は結構人気ありましたから」
「うんうん。前会長のせいもあってか、噂の妹ちゃんが入学した! って上級生でも噂になってたし。
それに、入学式前の寮問題を解決したって事でかなり好印象みたいだったしね。
あと、男子寮の寮父を変えるきっかけになったって、男子生徒からも結構感謝されてるよ。て、会長が言ってたよ」
……私、結構モブらしく地味に生きていた気がするんだけど。
「とりあえず他のところも見に行こうか。あと、廊下とか出た時少し周りを見てごらん。結構注目されてるよ」
「え、それって私が見られてたんですか?」
「ホワイトさんも、平民で生徒組織に入ったって事で多少噂になっていますが、まあ、カーターには敵わないよ」
サント先輩は、乾いた笑い声を出した。
お兄様を本当に抑制しないと。悪評じゃないけどなんかやだ。
作者の力で当選させてあげますよ。
書く機会があれば(白目)




