51.魔力弾放戦
次の競技では、私とトレット先輩で審判やらもろもろを行う。
「フレーバさんとちゃんと話せる機会はこれが初めてですね」
トレット先輩はほんわかした笑顔を浮かべている。
「そうですね。生徒組織のなかでも役職が違うと中々話す機会がありませんしね」
「特に会計は外に行くことも多くて、書記は今の時点ではほとんど軟禁状態ですからね」
「私の代わりにカロン先輩が動いてくれているので」
「そうなんですか。彼女はそうやってまた楽をしているのですね。フレーバさん、今度機会があれば彼女についていくことをおすすめします。
部屋の中で資料をまとめているよりも、そのまとめた資料を元に動く方が楽だという事がよく分かりますよ」
「は、はい」
なんとなく、トレット先輩とカロン先輩の力関係が分かった気がする。
「あ、トレット先輩、そろそろ魔力弾放戦が始まります」
「それでは私が審判をしますので、フレーバさんは所定位置についてください」
「はい」
魔力弾放戦は学年、男女混合で行い、名前は少々物騒だけど前世でいう玉入れだ。
魔力弾を生成し、それを操って魔法の入れ物の中に入れる競技だ。
これは魔力弾の数ではなく、密度で決める。大きい魔力弾を生成すれば時間がかかる。そのかわり、一つの価値が大きくなる。逆に、小さい魔力弾は生成時間が短いが、一つの価値があまりない。
中々に考えたと思う。うん。
しかし、ガーラとレンちゃんが出るのは分かっていたけど、まさか相手にチコやリリー、それにダミアなカロン先輩がいるとは。
ていうか、ダミアって青チームだったんだ。知らなかった。
しかし、これはかなり相手が悪い。
リリーは生まれ持った主人公パワーというチートを持っているし、チコは一度に放出できる魔力量も多い。
ダミアとカロン先輩は分からないが、生徒組織に入ってるんだからかなりの実力を保持しているはず。そもそもダミアに関しては攻略対象だし、何かしらの恩恵はあるでしょう。
申し訳ないけど、ガーラとレンちゃんでは少々力不足な気がする。そう、二人だけなら。
運が良いことに、フーリン様も同じ競技に出ている!
これなら中々いい勝負になりそうだ。
試合開始の合図とともに、一斉に魔力弾を作り始めた。
魔力弾の光が少々眩しい。ドライアイの人はちょっとこの競技は向かないな〜なんて考えながら、不正をしている人がいないか見守る。
そして、終了の合図が鳴り響く。
結果は、激闘? の末、三人で協力して素早く巨大な魔力弾をいくつも作って入れていった、我がチームが優勝となった!
次回、運動祭編終了です。




