30.チーム決めです!
運動祭まで残り二週間となった。
そのおかげで生徒会での仕事も忙しくなっていたので、ここ最近は疲れが溜まっていたが、その仕事もやっと落ち着いてきた。
「以前話したように、今年から運動祭という行事を実施する。これはクラス対抗戦ではなくチーム対抗戦となる。
教師で協議した結果、クラス対抗だと勝負が目に見えてしまっているからということだ。だから、今からチームを決めたいと思う」
エンス先生は何かを教卓に並べた。
「本来であれば、全員の身体能力を見て分けるべきなのだが、今まで身体能力を見る授業など存在しなかったから、この四枚のカードで決めさせてもらう」
エンス先生は真っ白なカードを見せた。
「今は白いが、めくる時に色が変化する。その時の色のチームが自身のチームとなる。それじゃあ一番から四番来い。五番から八番も待機しろ」
そしてついに、自分の番がきた。
──緑か。
「マードリア、何色だった?」
「緑だよ」
「それじゃあ一緒に頑張ろう」
「ガーラも緑なんだ。一緒に頑張ろうね」
私達は手を叩いた後握った。
ガーラが一緒なら安心だ。何気に運動神経良いし。
「今回の運動祭は、他学年、男子生徒とも協力する行事だ。全員、思う存分個々の力を発揮し、チームと協力して優勝を目指してくれ。
種目はチーム事に集まった時に決めるから、本日はこれで解散とする」
全員続々と鞄を持って戻っていく。
「そういえば、クレア様は何チームなんですか?」
「どうしてあなたに言う必要があるのよ」
「知りたいからですよ」
クレア様は一旦戸惑いの表情を見せたが、瞬時にいつもの顔に戻った。
「仕方ないですわね。言わないとあなたは毎日聞いてきそうだから言ってあげますわ。緑です」
「同じチームじゃないですか! 一緒に頑張りましょうね」
クレア様はそのまま早歩きでクラスを出て行ってしまった。
そして入れ替わるように四人がきた。
「マードリア、あなたどこのチームなの?」
「ついでにガーラも」
「ついではいらないでしょうが」
「私もガーラも緑ですよ。アイリーン様達はどこのチームなんですか?」
「ついでにチコも」
「達って入ってるからあたしも入ってるよ!」
「いやいや、チコを抜いた達かもしれないよ」
「マードリアはガーラと違って性格悪くないから。よく問題起こすけど」
「チコ、最後の一言余計」
「もう、あなた達いい加減にしなさい」
「私とアイリーン様、チコ様は同じ赤チームですよ。一緒のチームでなくて残念です」
「私はマードリア様とガーラちゃんと同じ緑チームです」
「そうなんだ、一緒に頑張ろうねレンちゃん」
「はい!」
チコは私達三人をじっと見ると不満げな表情を浮かべた。
「なんかそっち強くない? ガーラとマードリアは単純に運動できるし、レンちゃんは走るとかの運動は苦手だけど、器用だから何事にも順応力高いし。こっちなんて──」
「チコが足引っ張りそうだしね」
「なっ、別にあたしそこまでじゃないし!」
「どうだか。あー良かった、ボクはマードリアとレンがついていてくれて」
ガーラはそう言って私達の肩に腕を回した。
「言ったね、分かった、なら勝負だよ! 赤チームが緑チームに勝ったら、何かしてもらうから!」
「いいよ。途中でやめるのなしだからね」
「それって私達全員? ガーラだけだよね?」
「全員に決まってるじゃん! その代わり、そっちが勝ったら私達に何かしてもいいよ」
「ちょっと、勝手に私達を巻き込まないで。発端はあなた達二人なのにどうして私達も巻き添えをくらうのよ」
「私も少々……」
「え〜、いいの二人とも?」
チコはアイリーン様とリリーに何かを吹き込んでいるみたいだ。
「仕方ないわね。勝てばいい話よね」
「そうですね。せっかくの行事です。こういうのもいいですよね」
「決まりだね。いいよね、レンちゃん」
「みなさんが良いのなら。ですが、一体お二人になんと言ったのですか?」
「それはね〜──」
二人の顔が赤く、動揺している事から私を使って何か吹き込んだって事がすぐに分かった。
「秘密。あたしまだ死にたくないし」
「はぁ、そうですか……」
よく二人がいる前でそんな事言えるなと思う。レンちゃんも余計に謎が深まっただけだし。
でもまあとりあえず、新たに加わった勝負も含めて頑張りますか。
二章始まりました! これからもよろしくお願いします。
(ゲームの)モブキャラチームvs主要キャラチームですね。
 




