19.親族の意見
今日は休日だというのに、生真面目に図書館にいる御令嬢が私達です。
「あなたのせいでせっかくの休日が台無しだわ」
「もう一日あるからいいじゃないですか。それともなんですか? 何か予定でもあったんですか?」
「そ、そうよ! あなたと違って私は忙しいのよ」
嘘ついてるな。どもった時点でほぼ嘘確定なんだよクレア様。
「なら、私を優先していただきありがとうございます」
「あなたの為なわけないじゃない。課題をやらないと私の成績に響くから、私の為なのよ」
「左様ですか。それと、私の調べる範囲はまとめ終わりました。クレア様は?」
クレア様はノートを私に見せてきた。
「あなたがいなかった時に終わらせたわよ」
本当に終わらせている。ただ嫌味を言っていたわけじゃ無かったのか。しかし、綺麗なノートだなぁ。私のノートより使い方が上手い気がする。
そう感心していると、目の前でノートが閉じられた。
「そんなジロジロと見ないでくださる?」
「見ないとまとめられませんよ。早くまとめて残りの休日を少しでも楽しみましょう」
クレア様は嫌そうに溜息をついてノートを開いた。
私もノートを開き、レポート用紙にクレア様の、そして私のまとめを書いていく。
最後の一文字を書き終わった時の喜びを表す言葉は未だに見つからない。
「終わった〜!」
手を上に伸ばして固まった体をほぐす。
「私は失礼するわ」
クレア様を見て、ふと思い出した。
「ねえクレア様、バラン・パティシェル・ロップって、クレア様の従兄弟なんでしょ?」
クレア様の足が止まる。
「あいつが王になれば、我が国は終わりよ。一つ忠告してあげるわ、彼をあなたの周りにいる貴族と同類なんて思わない方が良いわよ。あいつは根から腐っているのだから」
クレア様はそれだけ言うと、そのまま早足で去っていった。
クレア様はあんなだけど、根っからの悪人じゃないことくらい知っている。
私の足を引っ掛けた時は、近くにアイリーン様とチコがいたから、助けてもらえられる。それはクレア様も分かっているはずだから、本気で転ばそうとしたわけではないと思える。(そもそもつまずかせるなって話だけど)
魔法騒動の時も、顔を見れば本当に制御が出来ずに困っていたのも分かるし、今だって、嫌味は言うけれども、私の人としての尊厳を傷つけるようなことは決して言わない。
たぶん、クレア様はゲーム世界の変わる事の出来なかったアイリーン様なんだ。
そんなクレア様がああ言うのなら、生徒組織の人たちがあんな態度になったのにも納得できるし、カヌレ様が家を捨ててまでチコの婚約を止めようとしたのも良くわかる。
「コリー王子様大丈夫かな。普段顔を見せないからって、会わないなんて事もないだろうし……」
かといって私が何かできるわけでもないし。
「……まあ、流石に大丈夫だよね」
コリー王子様、あれでも結構手強いし。
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