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18.役職が決まりました!

 リリーはゆっくりと手を小さく挙げた。


「あの、一つよろしいでしょうか?」

「どうぞ」

「会長、副会長のような表舞台に立つ方は、私よりも貴族であるアイリーン様の方がよろしいのではないでしょうか?」


ビケット王子様はその質問を聞くとにっこりとした。


「いいや、リリーさんだ。我々生徒組織と教師が選んだのは、マードリアでも、アイリーンでもない、リリーさんなんだ。

この学園は多少は貴族、平民で区切っているが、授業に差はあるか? 成績の付け方に差はあるか? 俺は無いと思う。平民が活躍してはいけない、学園生活を楽しんではいけないなんて校則は一切ない。

たしかに、中には貴族に虐げられている平民もこの学園にいるが、それを変えるのもリリーさんやドナッツの役割じゃないか? 

なぜペア制度があるのかを理解できていない生徒はたくさんいる。それを理解したうえで、君達にはこの学園を引っ張って行って欲しい。俺らもしっかりサポートするから。

それに、前会長が頑張ってくれたから、今年からは色々と行事が増えた。

そんな色々と変わっていくこの年を引っ張っていくのに、貴族だ平民だなんて言ってられないだろ?」

「──それもそうですね。先輩方や先生方の期待に裏切らない活躍を心がけます」

「ああ、頑張ってくれ。フーリン皇子様も問題はありますか?」

「いいえ、大丈夫です。皆さんと協力して、より良い学園生活を作っていこうと思います」

「なら、あとは書記と会計だな。が、その前に」


ビケット王子様はその優しい微笑みから、真剣な顔つきとなり、私とコリー王子様を見た。


「コーリーとマードリアは別の役職になってもらう」


ああ、ビケット王子様の背後にうっすらと見えるよ。


「どうして? 僕マードと一緒が良い」

「そんなことされたら俺がただでは済まない。悪いがコーリー、兄の身の為に我慢してくれ」


ビケット王子様の目はマジだ。大袈裟でも冗談でもない、本気の眼差しだ。


「お兄様、一体ビケット王子様にどれほどの心労をかけるのやら」


出したくなくても溜息が出てしまう。


「あなたも苦労するわね」

「いえ、まだコーリーを生徒組織に入れただけ慈悲はあると思います。コーリー、ビケット様の為にも諦めてあげなさい」


フーリン様の目が笑っていない。お兄様の影響力をある意味尊敬してしまう。


「おいちょっと待て、そうなると俺がこいつと同じ役職につかなきゃいけないのか? 勘弁してくれよ、ただでさえリリーと同じ役職じゃないってだけで嫌なのに、こいつと同じ役職とか勘弁してくれよ」

「私だって、あんたとやるくらいならコリー王子様の方が全然良いよ。そもそも私とやりたい役職と違う可能性があるんだし!」

「じゃあ役職言い合って、違ければ俺はお前と組んだりしないからな。お前の兄だ、トラブルはお前で解決しろよ」

「え、ちょ、それは、」

「いいよ、別にそれくらいやるよ。それじゃあ言うよ、私のやりたい役職は──」


 こうして私達のそれぞれの役職が決まった。


「それじゃあ、最後に確認を取る。仮会長はフーリン・エグラメル、仮副会長はリリー・ホワイト、会計はアイリーン・ミークとコーリー・ミーク、そして書記は──」

「どうして俺がお前なんかと」

「それはこっちのセリフ」

「マードリア・フレーバとダミア・ドナッツ。間違いないな」

『はい』

「それじゃあ、これからよろしくな。夏休みまでは三年生が仕事を教えるから、徐々に慣れてくれ」


確認が終わったビケット王子様は心底安心したような、嬉しそうな顔をした。

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