17.生徒組織の仕事
ビケット王子様は壁面本棚から六つの資料を取り出してきた。
「これは君達の資料だ。入学当初からの成績や実績、もちろん、起こした問題のこととか色々と載っている。他にも交友関係や周りからの評判など、できる限りの情報を詰め込んでいる。さて、マードリアに問おう。どれが自分の資料だと思う?」
そう言ってビケット王子様は六つの資料を机に並べた。
その中で、やたらと他の資料より分厚いのが目に入った。
私はその一冊を指した。
「これが、私の資料です」
「正解だ。マードリアに関してはカーターが毎回毎回話してくるから知らず知らずのうちにこうなってしまったんだよ」
やっぱり。お兄様、いくら重度のシスコンだからってこんなになるほど話さなくていいじゃん。
「ちなみに、これは書記の仕事だ。マードリアみたいに細かく書くのは特例だが、普通は厚くてもこのダミアくらいだ。これでもかなりの厚さだがな。
そして、多くの生徒がこの四人くらいの厚さだ。いや、フーリン皇子様に関しては薄いぐらい」
「書記は他にどのような仕事があるのですか?」
「そうだな、俺は書記じゃないから詳しくは分からないが、こんな風に資料を作成したりまとめたり、会議ではメモを取ってもらい、そこから最善案を考え出して提案する感じだ。生徒の意見をまとめるのも書記だな。こんな感じでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ次は会計だな」
ビケット王子様はまた本棚から資料を持ってきた。
「会計は主に学園に必要な備品、また、申請された備品の有無を生徒組織会長、副会長に聞いて、承諾が出たらその分の計算。
また、部費の計算もしてもらって、それを元に予算審議会に出てもらう。
部費の上限は決まっているが、本当にそれだけ必要か、各部活に確認にも行ってもらう。
他にも部活の申請書や予算書の対応もしてもらう。
簡単にまとめると、部活、金銭面に関してはほぼ全て動いてもらう」
金銭面って聞くだけで責任重大感がすごいな。いや、重大なんだけどね。
「最後に会長と副会長だが、正直色々とありすぎてな。ものすごく簡単にまとめると、会長は全ての事をまとめ上げる。副会長その補佐だな。
そういうことだから、会長と副会長の候補は生徒組織直々に、教師と話し合って決めた。
成績やその人の人柄や性格を見て決めさせてもらった。
会長並びに副会長は、男子生徒、フーリン・エグラメル、女子生徒、リリー・ホワイトにやってもらおうと思っている。
ちなみに、他の仕事も男女一人ずつだ」
まあ、妥当な二人だよね。
私は、もう既にどの役職につくか決めている。仕事の内容を聞いた時、これしかないと思ったのだ。




