16.生徒組織に入ります!
現れたのはフーリン様、コリー王子様、ダミアの三人だった。
「マードリア達もいらしたのですか。となると、やはりそういう事ですか」
「どういうことですか?」
「それは、ビケット王子様が今から説明してくれるのではないですか?」
「ああ、もちろんだ。二年生はこっちの部屋にきて。三年生達は仕事を始めて」
『はい』
私達は繋がっている隣の部屋に移動した。
「単刀直入に言うと、生徒組織メンバーに選ばれた。ということだ」
「どうして私達なんですか?」
「君達はそれぞれ、男女別の学年順位が一位から三位なんだ。すなわち、勉学と魔法どちらのレベルも高いという事だ。
生徒組織は学園全体を引っ張っていく存在。つまり、他の生徒よりも秀でていなければならない。だから毎年、優秀な生徒が生徒組織のメンバーに選ばれる」
ああ、そこに人格とかは関係ないということ。だから少々難ありな生徒もいると。
「おいなんだよ。なんか文句でもあんのか?」
ダミアは私を睨みつける。
「いや、別に。ただ、ダミアが優秀ってなんだか意外だなって。でもそうだよね、コリー王子様のペアだもんね」
「ダミアは何気に賢いですし、努力家ですよ。ただ少々自分を抑えるのが苦手なだけです」
「リリーの言う通りだ。それに、俺だってお前が学年三位だってことに対して未だに疑いを掛けている」
「私三位なんて言ったっけ?」
「へっ、聞かなくてもメンツを見れば分かる事だ。当然、リリーが学年一位として、お前が王女より優れているわけがないだろ」
なんだと? 図星が故に余計腹立つ言い方だ。
「そういうあんただって私と同じ学年三位でしょ! それに、私魔法実技では毎回一位なんだからね!」
「つまり、頭だけならお前より上がいるって事だ」
「はぁ? なんでそうなるの! 少なくとも悪ガキよりは頭良い自信あるし!」
「言ったな、言いやがったな、なら勝負だ!」
「望むところだ!」
身を乗り出してダミアと睨み合っていると、間に手が入ってきた。
「そこまでにしような。ドナッツは挑発しない、マードリアは挑発に乗らない」
「申し訳ありません」
「ちっ」
私が再び席につくと、隣から小さくため息が聞こえた。
それに対して私はびくついてしまう。
「さて、では話を進める。まず一つ、皆に聞かなくてはならない。生徒組織に入るか?
別に生徒組織に入る事は強制ではない。
生徒組織に入れば、部活に入ることは出来なくなるし、長期休みも集まってもらう事になる。簡単に言えば自由は制限されるし、かなり忙しくなる。
ただ、良いこともある。生徒組織役員特権というものがあるのだが、ここでそれを長々と説明するのもあれだから、なってから実感してほしい。
この特権以外にもいいことはある。例えば、教師からの印象が良くなるし、生徒の憧れの的になる。どうする?」
生徒組織か〜。これは学園物の醍醐味でもあるし、お兄様も生徒組織に入っていたから、私に断るなんて選択はない!
「私は入ります」
「マードが入るなら僕も」
「私も入るわ。兄と弟が入って私が入らないなんて選択肢はないもの」
「私も入ります。平民が生徒組織に入れば、少しは貴族と平民との間にある差が無くなると思いますから」
「リリーが入るなら俺も入る」
「僕も入ります。皇子としてではなく、フーリンとしての意思で」
ビケット様はみんなの返事を聞き終わると、嬉しそうにした。
「それは良かった。それじゃあ、これからよろしくな」
やっとこの章の本編入ったって感じですね。
 




