12.姉弟喧嘩です
「それなら席は僕達が見ておきましょう。流石に二人で大人数の席を取るのはあれですので、マードリアとストルさんにも付き合ってもらいますが」
そんな声がして後ろを振り向くと、フーリン様とコリー王子様がいた。
「マード、僕がいるから安心して。姉上、僕いるからいらない」
「い、いらないですって⁉︎ コーリー、あなたはもう少し姉に対しての態度を改めなさい」
「……レン、僕普通だよね?」
「え⁉︎ えーっと」
レンちゃんが目で私に助けを求めている。だけど、そんな目をされても私にもどうすればいいのか……。
「コーリー、ストルさん困っているじゃないか。それと、僕から言わせてもらうと、もう少し言い方を考えるべきかな。アイリーン様の言い方も少々厳しいですが」
「も、申し訳ありません」
「……フーリンは姉がいないからそう言える」
「こらコーリー! 皇子様になんて口聞くの!」
「いつもだもん」
「だからって人前でそんな口聞いたらだめよ!」
「姉上だって人前で吠えてる」
「それはあなた、いえ、吠えてるって何よ!
私は犬じゃないわ!」
「似たようなもんだよ」
うわ〜、他人の姉弟喧嘩って初めて見たよ。しかも友人同士の。
二人は喧嘩で気付いてないけど、この二人の喧嘩が一番注目集めているよ。
これ、中に入っていいのかな? いや〜流石に私にはここまでヒートアップした喧嘩に入るほどの度胸はないな。
「ガーラあの二人の間に入ってきたら? ガーラの図太さなら平気でしょ」
「それはボクに被弾しろと言ってる? ならボクよりチコいきなよ」
「やだよ」
「マードリアは?」
「マードリアはだめだよ。余計悪化するだろうし」
「ど、どうしたらいいんでしょうか?」
アイリーン様、以前喧嘩したことないとか言ってたくせにめっちゃしてるじゃん。
「皆さん、二人は置いといて先に取りに行きましょう。流石にあの喧嘩に近づく人はいないと思いますし、大丈夫でしょう。
二人の分も渡してもらえば時間の節約にもなります」
「本当に大丈夫でしょうか?」
「何かあったらフーリン皇子の責任って事でいいですか?」
「アウダーさんは相変わらずですね。いいですよ、僕が責任を持ちます」
フーリン様に責任押し付けるなんて流石ガーラ……。
ガーラに呆れながらも感心していると、食堂の入り口から一人やってきた。
「なあリリー聞いてくれよ、王子ったら酷いんだぜ。俺が寝ていたのに起こしもせず勝手にここに来たんだから」
「それは昼寝をするダミアが悪いでしょう」
「いや、でも、とにかく! 起こしてくれてもいいよな? リリーも起こすだろ?」
「私達は基本自分達で起きるから」
「そりゃまあ、リリーだしな」
まーた問題源になりかねない男が来たよ。
「はいはい、とりあえず早く食事取りに行くよ。ダミアも来なさい」
後ろを見るとまだ姉弟喧嘩が続いてる。よくそんなに続くなって思う。
……いや、私もお姉ちゃんとこれくらいしてた気がする。




