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11.食堂です!

 この居心地の悪い空気を壊すかのように鐘が鳴り響く。

夕食開始の時間だ。


「食堂に行きましょう。そんな暗い顔しなくとも、反省しているならいいわ。

中には顔だけ作って、解放したとたん今までの事が嘘に思えるくらい元気になる二人組がいるのだから」

「その二人が羨ましいです。……アイリーン様、私とレンちゃんに笑顔になるように言ってください」

「どうして?」


アイリーン様は不思議そうにこちらを見る。


「とにかく言ってください」

「はぁ、二人とも、笑顔を見せなさい」


私はレンちゃんと顔を合わせた後笑顔を作る。

アイリーン様はそれを見てくすっと笑った。


「その顔の方がいいわよ」

「ありがとうございます」


◇◆◇◆◇


 意外な事に食堂は地下にあった。

食堂は二年、三年のみならず、男女混合となるのでめちゃくちゃ広い。

そこにキッチンなんかも備わっているのだから、下手したら高校の校庭くらいあるかもしれない。


「三人とも遅ーい」

「ごめんごめん、席取ってくれてたの? ありがとう」

「どういたしまして」

「アイリーン様がリリーちゃんと一緒ではなかったのは、私達を迎えにきた為ですか?」

「ええそうよ。あなた達がまだ来ていなかったから、ジャンケンで勝った方が迎えにいくって事にしたのよ」

「残念ながら私は負けてしまいました」

「まあまあ、今度はリリーが迎えにいけばいいじゃん」

「もちろん、そのつもりです」


うーん、どうして私達が迎えにこられる前提なのだろうか?


「リリー、これからは遅れないように早く来るつもりだから大丈夫だよ」

「え、そ、そうですか」


リリーは明らかに残念そうな顔をした。

なぜだ?

リリーに対して疑問に思っていると、チコに肩を叩かれた。


「リリーちゃんは少しでもマードリアと一緒にいたいんだよ」


チコは耳元でそう呟いた。そうか、好きになるってそうだよね。一分一秒、少しでも好きな人と一緒にいたいだしいしね。


「リリー、今度は私が迎えに行ってあげる」

「は、はい! お待ちしております」


私の一言でリリーは笑顔になる。

いいな、恋って。


「話は終わったかしら? それなら早く食事を取りにいきましょう」

「あーちょっと待って、それなら誰か席見とかないと」

「それでしたら私が見ておきます。皆さんを待たせてしまったので」

「それなら私も残るよ。レンちゃんだけだと貴族に横取りされるかもしれないし、それに元はといえば私が色々と問題を起こしちゃった訳だから。四人で行ってきなよ」

「それなら私も残るわ。権力的には私の方があるのだから」

「アイリーン様は駄目ですよ。マードリア様のお迎えに行かれたのですから、アイリーン様にまた面倒を押し付ける訳にはいきません。それに、マードリア様も十分な権力を持っていますので、心配ご無用かと。もしあれでしたら私が残りますよ。マードリア様のサポートをいたします」

「あら、私は構わないわよリリーさん。それに、リリーさんも平民なのだから、横暴な貴族に権力振りかざされたら何も出来ないでしょう」


ふ、二人の顔が怖い。お互い笑っているのに笑っていない。

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