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8.迷子になりました……

 私はレンちゃんとリリーの手を取って素早くクラスから出る。


「あの、先に行ってしまってよろしいのでしょうか?」

「いいのいいの……たぶん。何か問題があったら全責任とるの私だし」

「……それは、本当に大丈夫なんでしょうか?」

「レンちゃん、あまり気にしなくていいよ」

「は、はい」

「それでマードリア様、どちらに向かっているのですか?」

「え? どこって寮に」


二人はなぜか苦笑いを浮かべている。


「こちらは寮に続く道ではありませんよ」

「……え、うそ⁉︎」

「リリーちゃんの言う通りですよ。こちらは男子棟です」


……え? なんで? どうして?


「申し訳ありません、もっと早く教えればよかったですね。マードリア様、アイリーン様達を振り切る為にあえて違う方に進んで行っているのだと思い込んでしまいました」

「私もです。申し訳ありませんマードリア様」

「え、いいよいいよ、元々は私が悪いんだから二人とも顔をあげて」


しかし困った、男子棟からの戻り方なんて知らない。


「ねえ、二人はここから寮までの道分かる?」


二人は首を横に振った。


「結構奥の方まで来てしまっているみたいですので……」

「もう少し早く気づければ良かったのですが、申し訳ありません」


ですよね〜。


「来た道戻るとかは……」

「結構曲がりましたから……」

「レンちゃん」


たぶん縋るような目でレンちゃんを見ていたと思う。しかし、現実は非情なもので、レンちゃんは首をゆっくりと横に振った。


「つまりあれかな、迷子というやつですか?」


二人は同時に頷いた。


どうしよう! アイリーン様に怒られる!


「二人とも、共犯ということで」

「マードリア様が全責任を負うと仰ってましたよ」

「えと、私も怒られるのであればできるだけ軽く抑えたいので」

「それに、アイリーン様にマードリア様を甘やかさないように言われていますので」


アイリーン様、先に手回ししたな〜。私の数少ない味方が……。


「あれ? マードリアじゃないか。それにリリーさんにレンさん。どうしたんだ?」


この声は! 天は私に味方した!


「久方ぶりですビケット王子様。始業式でのご挨拶、私は心底感動しました」

「ああ、去年はあれだったもんね。それで、誰かに用とか? でも男子棟までくるのはあまりおすすめしないな。特に三人は可愛いんだから、男子生徒に目をつけられるよ」

「あーいえ、その……」

「実は、寮に戻るつもりが迷ってしまったのです」

「帰るにも適当にきたもので、道が分からなくなってしまったのです」


ビケット王子様は納得したような顔をすると、すぐに軽く笑った。


「原因はマードリアだな。それなら俺が送ってあげよう。と、言いたいところなのだけど、生徒組織の仕事があって悪いがそれどころではないんだ。それに女子寮の階も変わっているだろう。女子寮は分からないが、男子寮は階が変わると作りも多少異なるんだよ。

実際、一年の時に上級生とすれ違わなかっただろう?」

「そういえばそうですね」

「そういうわけで俺もどうしようも出来ないんだ。だが、だからといってここに三人を置いていくわけにもいかないしな……」


ビケット王子様はしばらく悩むと優しく微笑みかけた。


「生徒組織室においで。そこならなんとかなると思う」


わけがわからないが大人しくビケット王子様についていく。

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