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平等に与えられるもの

「スキルとアイテムボックス。それはヒトっていう種族の誰もが平等に持っているものなわけ。」


 “燃える木”から少し歩いた先に見つけた、大きな切り株に腰を下ろすとコユビさんは話し始めた。


「僕がどのくらいの時期から使えるようになったか。とかは全然覚えてないんだけど、たぶん両方とも生まれたときから持ってたと思う。」

 切り株の上で胡坐をかいて、実際にアイテムボックスに手を突っ込んだまま宙を見つめるコユビさん。

 黒いもやに遮られた手首から先が見えなくなるのは、なかなか慣れそうにない。


「じゃあ生まれてすぐにアイテムボックスを開く子供もいるってことですか?」

「いや、そんなことは起きない。理由まではわかってないけど、実際にアイテムボックスが使えるようになるのは言葉が話せるようになってからなんだって。でもそれはアイテムボックスの話ね。」

「ということはスキルのほうは……」

「そう。正真正銘、生まれたときから使える。というより備わっている。」


 備わっている、か。それはつまり……

「何かを行った結果スキルを得るんじゃなくて、生まれつきその人のスキルは決められてるってことですか?」

「決められてる……か。おもしろい言い方をするね、少年。まるで誰かの意志によって人生が決められるみたいだ。」

 悪だくみをするように片頬に笑みを浮かべ、こちらを見据える。

「ま、そういう言い方をする人もいるね。神が与えてくださった!……とか、精霊様のご加護により!……とか。でも僕はそうは思わない。スキルって言っても色々あってね。ほとんど日常で使わないようなのもあれば、人としての生き方そのものを変えてしまうような困ったものまでいろいろあるんだよね。」 

 生き方そのものを、か。

 自分に備わったのが、そんなとんでもないものでなければいいのだが。


「それで、今まで関わってきた人達の中にスキルが同じだった人はいなかった。つまりそれだけ種類があるってこと。そうなると一人に一つとは言っても、そんなに種類を考えるアホがいるとは思えないんだよね。」

「……つまりスキルは種類がありすぎて、そんなにたくさん考える()()()()がいるわけがないと」

「そういうこと。」

 ふむ。とりあえずスキルの出所はどこでもいいか。それよりも、重要なことが今の話に出てきていた。


「スキルは一人につき一つなんですか?」

「そうだね。例えば<スキルを奪うスキル>……なんてものがあったりすれば、複数のスキルを持っていることもあるかもしれない。けど、たぶんそんなスキルは無いね。」

「やけにはっきり言いますね」

 いろんな種類のスキルがあると言っていた割には、あっさりと存在を否定するので驚いた。

「うーん。あくまで僕が見てきた範囲での見解なんだけど、基本的にスキルっていうのは<他人に干渉するもの>じゃなくて<自分に変化をもたらすもの>なんだよね。」


 自分に変化をもたらす……?

 なんか想像しているスキルと少し違うんだけど……

 スキルと言ったら、質問をしたら正確な答えをくれる謎存在と会話できるとか、身体の欠損さえ直すポーションを容器ごと作り出せるとか、そういうのを想像してたんだけど……?

 何か自分に変化が起きているのだろうか。


「どうやったらスキルを知ることができるんですか?」

「<スキルを知ることができるスキル>を持っている人に見てもらうか、スキルがわかる装置を使うかの二択だね」

「じゃあ、今ここで自分のスキルを知ることは……」

「うん。できないよ!」

「そうですか……。」


 笑顔で答えるコユビさんに力の抜けた表情で応じる。

 よくわからないものが知らない間に自身に備わっていたという、何も把握できていない状況に困惑せずにはいられない。

 もしかしてスキルについて知らない方がよかったのでは……などと思い始める始末である。

 しかし、スキルがあるのは常識らしいので知らないのは不自然か。

 ただ、知る方法が限られているなら大多数の人は知らないまま生活するのではないか?ならば知らなくても……


 いや、待て。少し前にコユビさんは言っていた。

 スキルには色々な種類があると。

 会った人の中に同じスキルを持つ人はいなかったと。

 何故そんなことを知っているんだ?

 多くの人に会うことはあっても、それぞれが持つスキルは知りようがないだろうに。

 それを知ることができるのは、つまり……


「そういえばコユビさんのスキルを聞いてませんでしたね。」

「そうだね。でも僕自身も知らないんだよ。」

「それは嘘ですよ。」

 すぐに否定されて目をしばたかせているコユビさん。

「どうしてそう思うんだい?」

「それは……」

 少し考えを整理して一息に言う。


「それはコユビさんのスキルが<スキルを知ることができるスキル>だからです。そうでなければ、会った人のスキルに同じものが無かったことなんて知りようがありませんから」

 強い確信をもって推論をぶつける。


 コユビさんは少し驚いた後、ニコリと笑顔を浮かべた。



予定よりも長くなりそうだったので二つに区切りました。

元々短いだろとか言う指摘は勘弁してください……


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