〜第1の日〜 《僕等は、出会った》
今朝。
ニュースでは
今年1番の寒さだ
と言っていた。
可愛いとは言えないけど
ブサイクとも言えない
お天気お姉さんが
言っていた
それだけ、
彼女は
言っただけ。
凍りついたような
ヘタクソな笑顔で
そう言っただけ
だけど 今日は
本当に寒かった
1時間目の
体育は
死にそうなくらい
寒くて
可愛くもないジャージを着た
女の子達は
ガタガタ震えてた
なのに
こんな寒空の下
男子達は
半袖だった
「うわぁー
ありえねぇー」
「おかしいだろー」
「うへぇ…」
女子の反応は
もっともなモノだった。
≪すごいなー
男子って
元気だよね≪
≫いや、違うだろ
そこ問題じゃないだろ≫
≪え??≪
「郁ー
持久走はじまるよー」
「うーん」
慌てて集合する
≫ロア…≫
≪…分かってる≪
ロアは
主導権を交代すると
人の輪から
1歩離れた
ピー
郁という身体は
1周目で
すでに息があがっていた
2周目からは
かなり足にクル
3周目あたりから
ロアは空を
眺める
何を考えてるかは
私には分からない
ロアと私は、
身体は同じでも
魂が違う。
なんで
13年も
彼は出てこなかったんだろう
13年もの年月
1人ぼっちなんて
気が狂いそうだ
ザッ
ロアは
足を止めて
振り返った
≪ロ
「…へぇ」
ロアは、
私の音[コエ]を
遮った。
視点の先には
彼女がいるだけ
彼女の名前は
笹原 結花
[ササハラ ユイカ]
可愛いくて
優しくて
優柔不断な娘
≪ロア?≪
ロアは
私に答えなかった
初めて
ロアが私を
見なかった。
ロアの世界には
私しか いなくて
だから
嫉妬なんて
あんまりなくて
でも、
でも、今は
≪え?ロア?≪
ロアは
結花に歩み寄ると
「大丈夫?
辛そうだよ?」
「足が…」
「あ。
先生呼んでくるから
アッチで座ってなよ」
そう言って
手を差し伸べて
彼女に触れた。
ロアが
初めて話しかけた
ロアが
初めて自ら触れた
ロアが
初めて優しくした
なんだろう
このモヤモヤ
嫉妬に
狂いそう
ロアの中に
興味のある女の子が
できた?
優しいのは
彼女に恋をしたから?
あぁ クラクラする
無理矢理
主導権を奪ってやろうかとも
思った。
だけど、
今 主導権を奪ったら
泣いてしまうから
私は ただ
ぼんやりと眺めていた
そして、
心を閉ざした
心を閉ざした私が
目覚めたのは
掃除が始まる時だった。
時刻は、
2:55。
アレから
5時間近くたっている
≫悪いなナーヴ≫
≪え?≪
≫限界だ≫
ロアは私に
主導権を押しつけてきた
「わっ!!」
突然の交代に
ふらつき
誰かとぶつかる
「ごめんなさい!!」
慌てて顔を上げると
彼女だった。
「ううん大丈夫。
今日 ありがとうね」
「ううん!いーの!!
気にしないで」
ホラまた
涙出そう。
私 こんなに
こんなに
≫ナーヴ交代だ≫
ロアは無理矢理
主導権を奪おうとした
≪ヤダ!!!!≪
≫オイ!!≫
ロアが手荒に奪おうとする
痛い…
魂がきしむ
それでもロアが
意識を手放さない
≪!!!!≪
ついには
男の魂に負けて
私は主導権を
手放した
〔こんなにも
私は君を
愛してたんだ…〕
君に触れられない世界は
色無い世界だった
それは、
1面の白銀世界。
ただ冷たい日々が
募るばかり…
≫ナーヴ?悪いな≫
そんな悪役みたいなセリフ
吐かれても
どーにもできないよ
≫ナーヴ…≫
私が返答しないと
分かったらしく
彼は
彼女のトコロに
行ったわ
そこで
意識を落として
眠りについた
≫ナーヴ≫
そこは、暗闇。
何もない。
黒だけ…
星もちりばめられない
宇宙のような場所
そこは…
夢の中。
漆黒の中
ただ色白い肌の
私とロアが浮かぶ
≪もぅ…夜?≪
≫あぁ。≫
ピンクのワンピース
いつもと同じ
私の夢の中の服。
ロアは、
白シャツに
ジーンズ。
変わらない
夢の中…
久しぶりのロアだ…
肩につくか
つかないかの
髪の長さ
キレ長の目
高い伸長に
持て余した足
綺麗なスタイル
いつも聞こえる
低くて甘美な声
全ての虜になってるよ…
≪ゴメンね…≪
≫ナーヴ?≫
≪私、なんか、
モヤモヤしてんの≪
見てる、
≪嫉妬よりも醜いような
名前も付けられないような≪
見てる、ロアが、
≪こんな自分
ヤダょ…≪
見ないで、
醜いよ、私。
≪私、心の中で
ロアには私しかいない
って≪
苦しい
≪ロアの世界の全ては
私だって
…思ってた
自分がいたの!!≪
哀れな私がいる
≪身体は女だから
ロアが誰かを好きになっても
平気だって
思ってた…!!!≪
違かったんだ
≪ロアの…≪
ロアの心は…
≪魂は…
それでも、
愛すコトが出来るのに…≪
奪われないなんて
思って…
≪私、どうすれば
いい…?≪
ロアが私に
近付いて
髪を撫でた
触れてる
だけど
体温がない。
まさに
夢の中、、、、
≫ナーヴは
間違ってないよ≫
…エ?
顔を上げると
綺麗な顔がある。
うっすら笑みを浮かべて。
≪な!?≪
そこで
全てが彼の計画だ
と気付く。
≫俺の世界の全ては
ナーヴだ。≫
やられた
≫お前以外いないよ≫
ハメられた
≫俺の世界には
お前だけ。
ナーヴが
そうであるように≫
≪ハメたな!!!?≪
≫なんのコト?≫
≪くっそっ〜≪
≫何?
ナーヴには
他に誰かいるの?≫
≪いませんよ
≪
≫ホラ…ね?≫
私は
いつだって
アンタに惚れてますよ
コノヤロー
(赤面)))
そうして
ギュッとした
ロアには
やっぱり
体温がなかった。
〔いつか
君の体温に触れられますように…〕
そう願ったのは
君もだろう
≫どうだった?
初めての嫉妬は?≫
≪やっぱ
計画的犯行だったのか。≪
≫うーん
そうかもね。≫
そんなコトしなくても
いつでもアンタに
夢中ですよ