シャドゥウの独白1
第1級熟練占師リラ――これが私のマスターだ。
若さという弱点を持ちながら、第1級を取得したというだけあり、
同年代の子より大人びている。
天性の才能、そして努力。
それらは年配の占師をも超越している。
しかし、もちろんパーフェクトではない。
面倒なことはあまり好きではないし、
予約で(つまり占いで)一日が埋まってしまうことを嫌う。
だからマスターは客からの指定がない限り
ほとんど使わない水晶を用いて占うし、
一つの場所で腰を据えて占いをしようとはしない。
「マスター。・・・・・・派手な服をお買いになりましたね」
帰宅し、鏡の前で髪型をどうしようか考えているマスターに声をかける。
赤色の服。レーザー系のズボンに上着。
似合ってはいるが、派手だ。
「安かったのよ。似合うでしょ?」
「それより・・・・・・この街へ来てから1週間経ちますが・・・・・・」
田舎の次は都会ね。
美味しいものを食べたから、今度は洋服や映画かな。
との言葉通り、マスターはそれらに熱中している。
最初の3日はずっとホテル内で勉強していたが、
その反動かここ4日は朝出て行き、
夜にならないと戻ってこない。
「遊んでいると時間って本当に早く過ぎていくのよね」
髪を器用にまとめながら、マスターは言う。
「ねえ、シャドゥウ。髪真っ赤に染めようかなって思っているんだけど、どう思う?」
「その・・・・・・ブロンドの髪を、ですか?」
全身真っ赤にして、マスターは何がしたいのだろう。
「そう。それでシルバー系のアクセサリーをいっぱい付けて、踊りまくるの」
「この街では、仕事の方はされないのですか?」
遊ぶことに夢中にみえるマスターに私は訊いた。
占いから離れているマスターは年相応だ。
それが悪いことだとは思っていない。
むしろ歓迎するべきだろう。
早くから大人社会に身を置き、
対等に、というよりアドバイスやフォロー等をする立場にいる。
相手に信頼されるには、何が最善かを心得ていて
(その逆も天下一品だが)
実行できる。