占依存症2
40代の女性。
「どういったことを占いましょう」
眼だけしか出していない顔をまじまじと見られる。
これも結構慣れたこと。
「あの・・・・・・。そろそろ娘も良い歳でして。
良いお相手がみつからないかと・・・・・・」
これもよく聞く内容。具体的な話題はそれだけ厄介だ。
「ご本人がいらっしゃらないと占いは少し難しくなります。
ここには来られていないのですか」
「ええ・・・・・・はい。余計なことをと言われるので・・・・・・」
「わかりました。ではまず始めにこの国の”占いに関する法律”に
則り、決まりを言わせていただきます。
占いはあくまで占いであり、状況に応じて変わります。
私たち占師がするのはあくまで援助。
その人個人の人生を多少は左右することがあるかもしれませんが、
最後に選ぶのは個人です。
又、占いで具体的すぎるもの――例えばその人の死期等を占うこと、
正確な日付を言うことはこの国の法律で禁止されています。
罰則は”占いに関する法律”に詳しく書かれています。
概ね占師に罰則が与えられますが、
場合によってはお客様の方のみに罰則が与えられる場合もあります。
占料は私第1級熟練占師ですので、少々割高になります。
その分、保険が使える場合が増えますので、ご了承下さい。
何か質問はあるでしょうか」
これをまず言わないといけない。
一回、一回必ず言うことが占師に義務付けられている。
「いいえ・・・・・・」
「では始めます。まずあなたのお名前と生年月日、
それから娘さんのお名前と生年月日をおっしゃって下さい」
紙と鉛筆を机の上に起き、そう訊くと
言うと想像していた通りの言葉がでてきた。
「あの・・・・・・。あなたは何で占いになるのでしょうか? その・・・・・・例えば水晶とか・・・・・・」
水晶。
またか、という気持ちを抑え、私はニッコリと言う。
「お望みなら、水晶で占いますわ」
そう言って机の上に水晶を置く。
カードが良いって言う人もいるけど、たいていこれで皆ほっとする。
水晶に何を求めているんだろう。
占師が水晶を見れば、他の人には見えない何かが見えると思っている?
稀に見えるって人がいるようだけど、
たいていは水晶のくもり具合や光彩の加減で判断する。
ずっと昔にある国で行われていたという
亀の甲羅の割れ具合で占うというのと
あまり変わらないと思うんだけど・・・・・・。
神秘さを全面にだすのにはうってつけなんだけどね。
他の人は知らない。
ただ、私にとっての水晶は飾りでしかない。