序章2
占師にも階級があり、第1級は一番上。
一応私もそこにいる。
弟子を取ることができるのは2級から。
1級は指導者にもなれるし(例えば学校を開いたり)
どこでも占いできる権利とか、そういったものが一気に広がる。
それが最も如実にわかるのが、国王陛下に謁見できる権利。
そして第1級の極々1部は親しく話すことも可能である。
私もそこにいた。
ほんの少し前までは。
その頃に戻りたいとは思わないけど、現在繰り返されるセリフに嫌気がさす。
それらしい格好に、それらしい水晶。
私自身の能力、第1級の資格を持っていても信じない?
そりゃ最近占界も不祥事あるし、
占界の大御所連中に比べると、私はかなり若い。
この職業は、年齢がモノをいう時もあるってことも知っている。
『さすらいの占師』になったのも、『若さ』が原因だって意見もある。
私にはどうでもいいことだけど。
◇ ◇ ◇
私の占いのスタイルは「その時」の好きな服。
机には紙と鉛筆。それで充分。
自動筆記で占うのですか? と訊かれて唖然としたこともあったけど、
これが私のスタイル。
(ちなみに自動筆記で占う人は2級までしかいけないっつーの)
◇ ◇ ◇
でも、今は。
黒いドレスに、水晶。
それだとお客が安心する。
悔しいけど、これが事実。