自動筆記者2
私は迷った末、小さい方に属する所へ訪れた。
「いらっしゃいませ」
と出迎えてくれた子に客じゃないことを告げ、
第1級熟練占師の証を見せた。
通された部屋は至極まとも。
前の所は酷すぎた。
いつ壊れてもおかしくない埃だらけの物置だったのだから。
「お待たせしました。ここの占いの館責任者の
第2級特別修練占師マーガレット・マイルです。お会いできて光栄です」
差し出された手は、細くてとてもきれいだった。
◇ ◇ ◇
第2級特別修練占師。
第2級修練占師は、マァ沢山いるけど
「特別」が付く占師はそれほどいない。
第1級熟練占師よりいないかもしれない。
自動筆記で占いをする人は、第1級へはいけない。
どんなに実力があっても2級止まりだ。
自動筆記者の一番上の階級が第2級特別修練占師なのだ。
だから、場合によっては第1級保持者よりも能力が高かったりする。
「特別」のつかない第2級の占師よりそれなりの権限は与えられているけど、
制約も多い。
なにより自動筆記者は、他の占師より国で厳しく管理されている。
『人が努力してもできるものではないもの』
この定義に国は敏感だ。
――自動筆記者もこれに当てはまり、管理下にある。
他には魔術というか、奇術。
人が消えたり、瞬間移動ができる(またそれらしいこと)、
ということをしている人の取締はもう最悪だ。
下手をすると一生牢屋暮らしらしい。
その辺りのことは極秘扱いがほとんどで、
自動筆記者絡みのことは、占界に属する身として
知ってはいるが、他はほとんど知らない。