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「…あの時、ああ言われなきゃオレはきっと今でもムチャを繰り返してた。あの後、藤矢や楓を頼るようになって、やっとひなさんに言われことが分かったんだ」
そう言ってつないでいる手に、力を込める。
「オレ、あの頃1人でいきがってた。1人で何とかしなきゃいけないって思ってばっかで…。そういうところが弱さだってこと、分かってなかった」
「うん」
「そして誰かを頼ることは、弱い証拠なんだって思ってた。でもさ、藤矢と楓を頼った時、2人とも笑顔になったんだ。『頼ってくれて、嬉しい』って」
「うん」
「その時、ひなさんの言葉の意味が分かったんだ。誰かを頼ることは弱さじゃない。1人で戦い続けることが、強さじゃない。って、こと」
「うん」
「そう気付いた時、…もう一度、あなたに会いたかった」
そう言って立ち止まった時、わたし達はあの公園に来ていた。
「全てはここからはじまったんだ」
「…うん」
「ひなさんのことは何度か見かけた。だけど声をかける勇気がなかった。何よりその時のオレじゃ、ダメだと思ったから…」
「髪を黒く染めて、化粧もやめたんだ」
「うん。…って、えっ!? おっ覚えてたの? あの時暗かったのに!」
「ううん。朱李ちゃんから昔の正義くんの写真を見せてもらったの」
「アイツっ…!」
悔しそうにうなる正義くんを見て、思わず笑ってしまう。
「アハハ。でもわたしは今の正義くんが、1番好きよ」
「ひなさん…」




