2人の未来
「そういえばさぁ」
「うん? なあに、ひなさん」
2人で手をつなぎ、わたし達は歩いていた。
「正義くん、わたしに告白してきた時、『ずっと好きでした』って言ったわよね? いつからわたしのこと、知ってたの? どこかで会った?」
「ああ、それはね」
正義くんは優しい顔で、語ってくれた。
今年の春、正義くんは一年生にして、玄武の地位を受け継いだ。
何でも冬丘さんには小さい頃からお世話になっていて、でも正義くんが高校に入学する時にすれ違うように、卒業してしまったらしい。
卒業する前に、玄武のことを言い渡されて、戸惑いながらも受け入れた。
昔馴染みだった翠麻に芙蓉というサポート役を付けてくれたし、何とかなると思っていたのだけど…。
「白虎がオレによく突っかかってきて、正直、精神的に参ってたんだ。まあ悪く言うと、荒れてたんだけどね」
昔を思い出すように、遠い目をした正義くんは苦笑した。
「1人で暴れ回ってたある日、ボロボロになって、公園で倒れたんだ。人に見つからないように、奥の木があるところに隠れててね。その時、ひなさんに助けてもらったんだ」
公園、木のある所…。
そして朱李ちゃんに見せてもらった写真を思い出し、わたしは気付いた。
「あっ、公園でボロボロに倒れてた不良って、正義くんだったの?」
「そっ。白虎のワナに引っ掛かっちゃってさ。みっともなかったなぁ」
…あの日。
夜だったけど、お腹が減ったわたしはコンビニに買い物に出た。
あそこの公園は横切ると、家に早くたどり着く。
その公園を歩いている時、奥の方からうめき声が聞こえてきた。




