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倉庫から人が去っていく中、父さんは正義くんを睨み付けた。
「―キミには特に、聞く話が多そうだ」
「はっはい…」
「父さんったら」
後でお母さんに言ってやる!
「さて、ひな。お前も今日は父さんと帰るんだ」
「えっ!?」
「そうした方がいいよ。ひなさん」
正義くんが弱々しい笑みで言ってきた。
翠麻と芙蓉が、正義くんの元に駆け寄ってきた。
「月花さん、今回は本当に申し訳ありませんでした!」
「すまん!」
2人はそろって頭を下げた。
「あなたのことをあえて視界に入れないようにすることが、巻き込まずに済ませる最善の方法だと考えていました。けど…」
「こうしてアンタを巻き込んでしまったのは、他でもないオレらの甘さだ。黄龍として、処罰を与えてくれ」
「あ~…もう良いわよ。あなた達の玄武への忠誠心は良く分かったし」
わたしは苦笑しながら、正義くんを見た。
「彼のことを大事に思う気持ち、わたしも良くわかるから」
「ひなさん…」
「だから、今回は勉強になったと思いなさい。まっ、わたしだったから良かったんだけどね。この後、同じようなことにならないように、精進しなさい」
「はい」
「分かった」
青い顔で頷く2人を、冬丘さんが後ろから頭を撫でた。
「まっ、この2人のことはオレに任せてくれ。陽菜子お嬢様はこのまま社長と帰った方が良い」
「分かったわ。それじゃ、正義くん。落ちついたら、連絡してね?」
「もちろん! ちょっと時間がかかると思うけど、必ず連絡するから!」
「うん、待ってる」
手を握って、すぐに放した。
…さすがにこんなに多くの人の前で、キスするワケにはいかないから。
「じゃあね!」
「うん、また!」




