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「おっお母さんにはもう報告したわよ」
「何っ!? 母さんは知っているのか?」
「うん。『良かったわね』って、喜んでくれたもの」
今まで実家のせいで、彼氏を作らなかったわたしを、お母さんは心配してくれていた。
だから正義くんのことを言った時、スゴク喜んでくれた。
「母さんっ! ヒドイじゃないか! 私だけ邪魔者扱いして!」
…ここにはいないお母さんに、文句言うなよ。
「母は娘の味方をするものよ。だから正義くんに何かしたら、わたしだけじゃなくて、お母さんも敵に回すことになるからね」
「んがっ!?」
父さんはショックを受け、その場に膝を付いて、おいおい泣き出した。
…お母さんにベタ惚れだからな、父さんは。
「陽菜子さま!」
「陽菜子お嬢様、ご無事ですか?」
父の後ろに控えていた5人が、わたしに声をかける。
「あっ…」
隣の正義くんが、小さく驚く。
「先代の四獣神…」
「はい、先代の四獣神は今、社長の元で修行中なんですよ」
父さんの秘書の中川遼さんが、優しく正義くんに伝える。
柔らかな物腰と、丁寧な言葉遣いをする中川さんは、男の人なのに…老若男女にモテる。
「まったく…。相変わらず短絡的な考えだな。マサ」
「柊センパイ…」
冬丘柊さんが、正義くんの頭を優しく撫でた。
背が高く、モデルのようにカッコ良い男の人。




