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「四獣神は私が作ったものだ。勝手に変えられては、困るよ。白虎」
「うっ…。は…い」
白雨は膝から崩れ落ちた。
「そして玄武」
「…はい」
玄武を見る理事長の眼は、とんでもなく冷たい。
「キミ、いつからウチの娘と付き合っているんだい?」
「……はい?」
拍子抜けした正義くんの声。顔もきっと拍子抜けしているだろうな。
「このコのことだよ」
正義くんの脇から、私の腕を掴み、出した。
「わっ! 父さん、乱暴!」
「どういうことかな? ひな、いつから彼氏ができた?」
いつもは激甘な父さんだけど、今はわたしでも怖い…。
「えっ…。ひなさん、理事長を『父さん』って…」
わたしは頬をふくらませ、横を向いた。
「…月花星雪。この美夜の理事長は、わたしの実父で、龍星会の次期後継者よ」
「へっ…えええええっ!」
全員が、ぎょっと後ずさった。
「あっ! 黄龍の制度を作ったのって…」
「理事長だったわよね!?」
青城先輩と朱李ちゃんが、お互いを見ながら言った。
「理事長に一人娘がいることは聞いていましたが…」
「そう言えばさっき月花が言ってたな…」
呆然としながらも、翠麻と芙蓉が呟いた。
黄龍のこと、そしてこの美夜学院をわたしの為に作った父は、今や鬼の形相になっていた。
…だから正義くんのことは、秘密にしときたかったのに。




