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「えっ…。ひなさんが…」
この場にいる全員が、眼を見開いた。
「許されない恋だったけれど、母がわたしを身ごもったことで、一応結婚は許されたわ。母が父のところに嫁入りする形で、話はまとまったわ」
当時はそれこそ血の雨が降ったみたいだけど…。
「けれど両親がわたしが両家の血を引く者として、将来をとても心配していたわ。だから父は、この学院を作ったの」
「そっそれじゃあ、アンタが…!」
白雨が震える指で、わたしを指さした。
「ええ、黄龍はわたしのことよ」
わたしはアッサリ認めた。
「父は将来、わたしの役に立つ手下を作る為だけに、この学院を設立したの。父は相変わらず龍星会の後継者だし、このぐらいは簡単だったわけ。そして黄龍の存在を根付けさせたのも、わたしの為よ」
将来、わたしは父の後を継ぐ―。
それはつまり、龍星会を継ぐという意味だ。
だがそれだけじゃ、収まらない。
「でもちょっと出るのが遅かったみたいね。黄龍の存在がこんなに根強かったなんて分かんなかったから、気にも止めてなかったのよね。だけど…」
わたしは正義くんと白雨を見て、ため息をついた。
「最近の出来は、あんまり良くないと見た」
「えっ! ひなさん?」
「父は将来、二つの組織を背負わせたいみたいだし、わたしもそのつもりで生きてきたけど…。部下候補のコ達がこんなんじゃな~」
「ちょっ待ってよ! オレ、ひなさんの為なら、何だってできるよ!」
「それがよろしくないと、言っているでしょうが!」
再び頬をぎゅぅっとつねる。
「あうっ」




