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「でも、じゃない!」
わたしの一喝に、彼は黙った。
「頂点に立つものなら、ケジメはちゃんとしなさい! 分かった?」
「はっはい…」
剣幕に押され、彼は素直に頷いた。
「それで良し!」
わたしは彼の頭を撫でた。
「てってめぇ…」
おや、倒したと思った白雨が、上半身を起こした。
ちょっと投げが甘かったかな?
「何モンだっ、てめぇ…!」
「女の子に向かって、汚い言葉を投げつけるのが、チンピラだってーのよ」
わたしは深く息を吐いた後、真っ直ぐに白雨を見つめた。
「―まさかこんな所で正体を明かすことになるとは思わなかったケド、これも運命なんでしょうね」
次に正義くんを見て、苦笑した。
きっと、彼と出会った時から、動き出していた。
わたしが今まで逃げていたことから。
でも…このことはわたし自身の責任でもあるから。
改めて白雨を見つめ、声高らかに言った。
「竜星会と空龍組―。二つの組織には十八年前、お互いに後継者がいたわ。竜星会は長男が、空龍組は孫娘がその地位を引き継ぐ予定だった。でも―」
ふと遠い眼になる。
「2人は年に一度行われる、全国の組織の会議で知り合い、恋に落ちてしまった。そして生まれたのが…」
息を思いっきり吸って、止めた。
「わたし、月花陽菜子よ」




