黄龍出現
片手を上げ、白雨の顔を掴んだ。
「うぐっ!」
呻いた声を出した白雨に驚いて、正義くんは顔を上げた。
「―さっきっから大人しくしてりゃ、調子付きやがって…! このチンピラがぁあ!」
ナイフを掴む手を握り、そのまま背負い投げをした。
「がはっ!?」
「ケンカ売る相手、完全に間違えたわね。アンタ」
「ひっひなさん?」
わたしは正義くんに視線を向けると、彼に近付き、
ぱぁんっ!
…頬を叩いた。
「えっ…」
「仮にも人を率いる者が、簡単に膝をつくなっ! みっともない!」
そう言って無理やり立たせた。
「何でわたしの言うことを聞かないの! 玄武が白虎に服従するなんて、前代未聞だわ! もうちょっと考えて行動しなさいよ!」
「かっ考えたさ! 服従したら、すぐに玄武を下りるつもりだった!」
正義くんは顔を真っ赤にして、叫んだ。
「それが無責任ってもんなの!」
わたしは正義くんの頬を、思いっきりつねった。
「ひっひだいっ! ひははん、ひらいっ!」
「頭の悪いコは、このぐらいしなきゃダメでしょ!」
最後に両頬をバチンっと叩いて、終了。
「翠麻くんや芙蓉さんのこと、言える立場じゃないわね。…2人のことは許してやんなさいよ」
「でっでもっ!」




