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「立会人が大勢いるほうが良いだろう? そしたら月花ちゃんにはもう二度と会わないことを、俺も誓うさ」
立会人…!
青竜に朱雀、2人の手下達。
そして玄武の手下も大勢ここに集結している。
ここで正義くんが忠誠を誓えば、本当に二度と…!
「…正義くん。いいから、わたしのこと、見捨てても」
わたしは静かに、彼の眼を真っ直ぐに見ながら言った。
「ひなさんっ…!」
「わたし一人の為に、美夜の伝統を崩すことは無いわ。四獣神の玄武たるもの、時には守る為に切り捨てることも大切よ」
「お~、言うねぇ。月花ちゃんは」
わたしを抱き締める手に、力が込められる。
「うぐっ」
「でも余計なことは言わないほうが、身の為だぜ?」
「よせっ! …分かったから」
正義くんは唇を噛み、膝を付いた。
「っ! 夜上クンっ!」
「夜上さん、やめてください!」
翠麻と芙蓉が血相を変える。
「悪いな、みんな…」
「さすが玄武。かしこい選択だぜ」
そう言って白雨は足を出した。
正義くんは悔しそうに頭を下げた。
「へっ。やっぱ玄武なんて、大したヤツじゃねーな」
…白雨のその言葉に、わたしの中で何かが音を立てて切れた。




