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「やめろっ! 白虎っ!」
「っ!」
…聞きたい声が、耳に飛び込んでいた。
倉庫内に手下を引き連れて、彼が…正義くんが来た。
「正義、くん…」
来てくれたことに、心の底から安堵した。
…本当は期待していた。
来てくれることに。
でも来てくれないことも、願った。
彼が傷付く姿は、絶対に見たくなかったから。
思わず体の力がゆるんで、泣きそうになる。
「おっと。フラつくほど、驚いたか?」
揺らいだ体を、白雨が後ろから抱き締めた。
「離れろ! 白虎っ! オレに用事があるんじゃなかったのか!」
「ああ、そうそう。白虎、俺は平和主義者なんだ」
「ふざけたことを抜かすな! ひなさんを人質にしてっ…! ぜってー許さねぇからな!」
「おーおー。彼女が絡むと、また人が変わるなぁ」
…それは同感。
「夜上クン、どうしてここへ…」
「夜上さん、てっきり帰ったのかと…」
翠麻と芙蓉が呆然と正義くんを見た。
「手下の1人が、白虎が他校の女子生徒を学校内に連れて来たって聞いて、まさかと思って戻って来てみたらっ…! くそっ、2人とも、後で落とし前はつけてもらうぞ!」
「…分かってますよ」
「承知しました」




