二人のデート
「ふぅ…。こんなものかな?」
髪を指でつまみ、クイクイ引っ張る。
お気に入りの服を着て、今日はメイクも髪もナチュラルにバッチリ決めてきた。
今日は日曜日。
彼―夜上正義くんとの初デートの日。
―あの告白の後、とりあえずお互いのケータイナンバーとメアドを交換。
彼はすぐに連絡をくれて、何度か話したりメールしたりはしたけれど、違う高校だった為に会える機会は無かった。
けれど今日、二人で出掛けることを決めた。
行き先はわたしの好きな水族館に、広場付きの遊園地。
お昼はわたしが手作りのお弁当を持っていく約束。
彼はとても喜んでくれて…ベッドから飛んで落下したそうだ…。
何度か接触をして、彼がとても素直で良い子なのは分かった。
けれどわたしは…。
「おっお待たせ! 月花さん」
「陽菜子、でしょ? あるいは、ひな」
「あっ…」
電話やメールで、苗字を呼ばれるたびに直してきた。
「自分の彼女を苗字でさん付けしてるコなんていないわよ」
「ごっゴメン、まだ慣れなくて…。ひっひなさん」
さんは…まあ目をつぶろう。
「ううん、正義くんにそう呼ばれるのは嬉しい」
ニコッと笑って、彼の手を握った。
「さっ、行きましょ! あそこのビルに入ってる水族館、ステキなのよ」
「うん! あっ、荷物持つよ」
彼はわたしの肩にかけたバッグを見た。




