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「誇りを忘れたワケじゃない。ただ、玄武にはもう少し大人しくしていてほしいだけだ。お前らだって、そう思っているだろう?」
白雨はどうやら懐柔するつもりらしい。
2人は歩みを止めたが、殺気は止めない。
「確かに玄武は勢いが良い。けど若いヤツにはありがちなことだろう? てめぇだって、そうなんだからな」
地獄の奥底から響くような声に、思わず背筋が寒くなる。
「それにアンタより、玄武の方が話が分かるわ。アンタはただ、自分の力を誇示したいだけだもんね」
「言ってくれるな、朱雀。でもしょうがないだろ? 俺は白虎なんだぜ?」
「理由になるか! 一般人を巻き込んだことで、アンタは白虎の地位を剥奪されるわよ! 覚悟しといたほうがいいんじゃない?」
「おやおや、そりゃまいったね」
参った、と言うのは口だけで、態度は相変わらず軽々しい。
「―でも、その口塞いでしまえば、話は終わりだろ?」
パチンッと白雨が指を鳴らすと、いろいろな所から学生達が姿を現した。
けれど中には、美夜以外の制服を着ている人もいる。
「…ちっ。ここまで落ちたか、白虎よ」
「他校生を入れるなんて…! 呆れたヤツね!」
青城先輩も朱李ちゃんもそう言うけど、緊張感が顔に表れている。
―2人の手下と合わせても、この人数では勝負は五分五分か。
「あいにくとこの学校は俺には狭すぎてなぁ。優しい友人がたくさんいて、助かったぜ」




