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「玄武―私立美夜学院・高等部1年、夜上正義クンのことだよ」
「はっ…?」
正義くんが、玄武?
…この美夜学院のまとめ役の一人…?
「あらら、本当に何にも知らなかったんだ」
ショックを受けているわたしを見て、白雨は笑った。
「…お互いのことを詮索しないのが、付き合う条件だったのよ」
「それがアダになっちゃったワケだ。玄武は有名だよ、ここでは。1年だけど、小等部の時から暴れん坊として有名だったからね。でも最近」
白雨は目を細め、わたしを見た。
「彼女ができて、浮かれているんでね。今が好機と、ちょっと暴れさせてもらってたんだ」
「じゃあアンタが原因でっ!」
翠麻達が言っていたのは、コイツのことだったのか!
「まっ、それも今日までだ。いい加減、こっちとしても決着をつけたいからな」
「…でも四獣神は4人いるからこそ成り立つんでしょう? 彼を叩いたら、バランスが崩れるんじゃないの?」
「詳しいな。でも大丈夫。俺は別にヤツを叩こうなんて、コレっぽっちも思ってないから」
ワザとらしく、肩を竦めて見せる。
「じゃあ…何が目的?」
「うん、あえて言うなら、少し玄武には大人しくしててほしいんだ」
「大人しくって…。そんなに暴れているの?」
「自分の領域に入ってきたもの、あるいは荒らすものには容赦ないよ、彼は。だから俺も動きにくい」
「領域を守るのが、四獣神の役目だからでしょうが!
そんなことしたら、他の3人がっ!」
「あっ、大丈夫。1人は俺だから」
そう言って白雨は自分を指さした。




