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「どちら様、だってよ」
男達の間で、笑いが広まる。
「―月花さん? どうしました?」
答えるに答えられない…!
動けないでいるわたしに、先頭にいた男が近寄ってきて、わたしのケータイを奪った。
「翠麻か?」
「っ! 白雨か!」
「ヤツに伝えとけ。大事な彼女は預かった。返して欲しけりゃ手下連れて、学校の倉庫に来いってな」
「待てっ! その人に何かしたら…!」
「しねーよ。けど早く来なきゃ、どーなるだろうな」
ピッ。
…電話は切られた。
近くで話をしていたから、内容は全て聞こえていた。
「…わたしを美夜に連れて行く気?」
「そっ。大丈夫だって。俺は紳士だからな。大人しくしてりゃ、何にもしないって」
「…その外見で紳士って言われても、ね」
肩まで伸びた髪を、赤紫色に染めている。
体付きも良い。この間会った美夜の3年生と、良い勝負だろう。
それにこの殺気!
ただものではない。
「ところでアナタは何なの? どうしてわたしを連れて行こうとするの?」
「そりゃあ…」
楽しそうに笑って話そうとしたけれど、白雨はふと口を噤んだ。
「学校の倉庫内で話してやるよ。そこが俺の本拠地だからな」
…そしてわたしは美夜の男達に囲まれながら、連れてかれた。
美夜の学校に―。




