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「うん…」
「でも…寂しいな」
正義くんは優しくわたしの肩を抱いて、引き寄せてきた。
「わたしもすっごく寂しかった。…でも確かにわたしが足手まといにならない可能性はゼロじゃないから」
「うん。ゴメン、オレにもっと力があったら、ひなさんと一緒にいられるのに…!」
ぎゅっと肩を掴む手に、力が込められる。
わたしは正義くんの体に寄り掛かった。
「あと少しで解決できるって、翠麻くんは言ってたけど…本当なの?」
びくっと彼の体が震えた。
少し唇を振るわせた後、苦しそうに唇を噛んだ。
「…多分。藤矢がそう言うなら。アイツは食えないところがあるけど、言ったことは必ず守るヤツだから」
「仲が良いのね。芙蓉さんとも付き合い長いの?」
「あっああ、二人とも幼馴染だから。ずっとオレの面倒を見てくれてて…」
「ふふっ、良いわね。正義くんのこと、わたしよりも分かっているみたい」
「そうかな? でっでも、オレの1番はひなさんだから!」
「うん、知ってる」
弱々しく微笑みながらも、顔を上げると…正義くんの顔が近かった。
そりゃそうか。こんなに密着しているんだもの。
「ひっひなさん…」
彼の顔が近付いてくる。
わたしは目を閉じて、感覚を唇にだけ集中させた。
―はじめて触れた彼の唇は、とても優しくてあたたかかった。




