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「とりあえず、家から離れましょう。近くに公園があるから、そこへ」
「うっうん」
家の前で騒ぐのは、さすがにマズイ。
近くに児童公園があって、わたし達はそこへ移動した。
ベンチに並んで腰掛ける。
「あの…ね。実は言ってなかったことがあるの」
わたしは思いきって、翠麻のことを言うことにした。
「うん、なに?」
わたしは彼の眼を、真っ直ぐに見上げた。
「翠麻くんのことと芙蓉さんのこと…」
二人の名前を言うと、彼の表情が固まった。
「えっ…。ひなさん、どうして二人のことを…」
「ちょっと前に、声をかけられてね」
「二人とも正義くんのことを心配して、わたしの所に来たの。正義くんがその…美夜の学校の人とトラブっているって…」
「アイツら…!」
「あっあの、怒らないであげてね!」
彼から殺気立つオーラを感じて、わたしは慌てて止めた。
「それでわたしにも危険が及ぶかもしれないから、しばらく正義くんに会わないようにって言われたの。翠麻くんからは1ヵ月以内には片がつくからって言われたし、それならと思って…」
「オレと会うことを控えてたんだ」
「うん…。ホント、ゴメン。翠麻くんのこと、何となく言い出しにくくて」
「いや、オレも知らなかったのが悪いし」
正義くんは深く息を吐くと、罰が悪そうな顔をした。
「美夜とは…確かに今ちょっとゴタゴタしてる。ひなさんに危険が及ぶことは絶対に無いとは言えないし、オレもずっとひなさんを守れるワケじゃないから…。藤矢や楓のしたことを、責められないケド…」




