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会えない寂しさ
「はぁ…」
ケータイの待ち受けを見ては、ため息ばかり。
夜、わたしは自分の部屋でぼ~としていた。
つい三十分前、正義くんとあんなに話してたのに…。
話せば話すほど、寂しくなる。
待ち受けには、安らかな寝顔の正義くん。
彼も今頃、わたしと同じように待ち受けを見ながらため息をついているんだろうか?
またため息をつくと、いきなりケータイが鳴った。
この着信音は…。
「正義くん?」
慌てて通話ボタンを押した。
「どっどうしたの?」
「ひなさん…。ゴメン、窓の外見てくれる?」
「えっ?」
わたしは慌ててカーテンを引いて、外を見てみる。
すると道路に正義くんが…いた。
「えっ、えっ。どうしたの?」
「ゴメン、どうしても会いたくて…。今、どうしてもダメかな?」
正義くんが泣きそうな顔で、こっちを見ている。
「…ちょっと待ってて」
そう言ってケータイを切った。
父さんがいない時なら、お母さんに言えば外には出られる。
けれど今は、父さんがいる。
…しかも玄関を通る時に必ず通る、リビングに。
ちょっと考えた後、わたしはケータイを見た。




