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自動販売機の前で出会った不良
「ふぅ…」
アレから、学校の用事が忙しいのだとウソをつき、彼と会うことは避けていた。
だけどその分、さみしさを埋めるように、よく電話やメールをするようになった。
そんな中で彼がさみしがっていることを、感じていた。
でも…わたしには何にも出来ない。
翠麻からも、連絡がくる。
何とか1ヵ月以内には、事が片付くとのことだった。
別に翠麻からは口止めされてはいない。
だから聞こうと思えば、聞けるハズだった。
彼と―美夜の関係を。
でも…あくまでもわたしは…。
「あ~、くそっ!」
がんっ!
大きな声と音に驚いて顔を上げた。
数メートル先の自動販売機の前で、一人の学生が機械にあたっていた。
周囲にいた人は、さっさと逃げていく。
何故なら学生の着ている制服が、美夜のものだったからだ。
わたしはとことこ歩き、学生に声をかけた。
「どうしたの?」
「ああっ!?」
まるで般若のような形相で怒っている学生に、もう一度冷静に声をかける。
「どうしたの? 何、自販機にあたっているの?」
「この自販機、金を入れたのに飲みモン出さねーんだよ!」
そう言いつつ、ゲシゲシ蹴る。




