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LOVEファイト!  作者: mimuka
13/66

2

父さんは仕事が忙しく、ほとんど事務所で寝泊りしている。


家に帰ってくるのは一ヶ月に数日だけ。


…まあ呼び出されて、食事とか買い物したりしているケド。


「今日は泊まるの?」


「もちろんだ。大きな仕事を片付けたしな。それに…」


ふと父さんの表情にかげりが差す。


「ちょっと経営のことで、こっちに長期滞在するつもりなんだ。その間、生活はここで過ごすことにしたんだ」


「経営…? まさか実家の方で何か問題が?」


わたしも顔をしかめてしまう。


父さんは実家の事業を継いでいて、わたしも将来は次ぐ予定だ。


だから父さんの仕事に関しては、敏感になっている。


「まあ…その一つだな。少し長引きそうだ。何、心配はいらない。トラブルというワケではないからな」


「そう…」


そうは言うけど、父さんの顔色は優れない。


大きなことを成していると、その反動も大きいというワケか。


「ところで、ひな。そろそろ父さんの学校に転校しないか?」


「…そのことは前から言っているけど、やめとく。あくまでも外から勉強したいのよ。あんまり中に居過ぎると、ちょっと考え方が悪くなりそうだから」


「ふむ…。こっちとしては、ひなが安全な目の届く所にいてくれると嬉しいんだが…。まあそう言うなら、仕方無いか」


学校へ上がる時、実家の経営している学校へ通うかどうかで、かなりもめた。


けれどさっきも言った通り、実家の内部に居過ぎると考え方が偏る。


だからイヤがった。


「まっ、仕事の話はおいといて。家族の話をしようじゃないか」


「そうね」


父さんはここに安らぎを求めている。


家族としては、受け入れてあげるべきだろう。


それに口には出さないけど、久し振りに家族全員がそろって嬉しい。


…両親の親族は、二人の結婚に元々反対だった。


わたしが生まれて、やっと落ち着いたところだ。


商売敵というべき相手の者との結婚。


二人とも勇気があった…と言うよりは、そこまで深く愛し合ったのだろう。


そのことを、わたしは誇りに思いながらも、憧れ続けていた。


―強い愛に。


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