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よっしゃ、面接本番!
スーツは異世界の素材をふんだんに使った最強硬度のドラゴンの鱗と革!向こうの社交界に無理矢理出されそうになって抵抗したが飯を抜かれそうになって出した条件がスーツで出るというものだった。これは、日本でも使える防具スーツだね。最強だよ。シャツも下着も全身異世界!勿論靴はドラゴンの革で作った、足にフィットする最高級の靴だ!オーダーメイドなので私しか履けないのだ!足は疲れないように《疲労軽減》付与もしている。
「よし、コミュ障貴様は出てくるなよ?」
私はスタンドミラーに写る自分にそう声をかける。
気合いは十分!いつドラゴンが襲いかかってきても私は返り討ちに出来る自信がある!
さぁ、いくぞ!はははははは!
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現在
は、はは。
気合いをいれていったは良いが、どうやら気をはりつめすぎていたようだ。対応してくれた事務のお姉さんの笑顔が引き つっていた。「リラックスしてください。深呼吸です。」ああ、魔力制御をすれば良いのか。
スーハースーハー
うん。身体中に魔力と気が満ち満ちているね。お姉さんは何だかポーっとしている。声をかけると頬を染めて「あ、はい!あ、案内するわね!ホホホ!」とホホホ!とは言わなさそうなのにそう笑って案内をしてくれた。
2階に続く階段をお姉さんと上るとコツコツと一つだけ足音が響く。
「ん?何か違和感が、まぁいっか。あ、こちらの会議室で行います。こちら側のお好きな席に座ってください。面接官を呼んできます。」
あ、足音消しちった。や、やべぇ。バババ、バレてないからセ、セーフだよね?ね?うん、今度は音のなりにくい物を履いてこよう。(そうじゃねぇだろ!)
ん?誰かが何か言ったような。まぁ、どうでもいいや。
ガチャリ
会議室のドアが開き厳つい面接官?が入ってきた。
「え"~。ん"ん"っ!まあ、取り敢えず自己紹介からお願いします。」
おっさん面接官?のガラガラの野太い声で面接が始まった。
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お、終わったぁ~
何かおっさんが殺気か威圧かよくわからん弱々しいのを飛ばしてきたからあれってもしかして、俗に言う圧迫面接ってやつかい。全く弱々しい圧迫面接だったね。こうもっとプレッシャーをかけないと。受かったら指導してやろう。
とにかく質問が何かよくわかんなかったな。「体力はありますか?」「精神力はある方だと自負していますか?」「掃除はできますか?」「料理はできますか?」「口は固いですか?」等々後半は家事のような変なことをいってたなぁー。もしかして、変なとこ受けちゃった?まぁ、その時はその時で対処しようかね。臨機応変に!
【おっさん面接官】
姐さんから何か空気が違うとかなんとか、オカルトとかそういった類いのを全く信じていないような人があんな抽象的なことを言い出したときは気のせいだと思ったが。
なんだありゃ?
と、俺も思っちまったな。最初の印象はただの何処にでもいるような地味な女だったな。だが、俺を見たときに怯えるような素振りどころか実際に怯えてはいなかった。かなり本気の殺気を出したんだがな。途中から殺気に気づかないほどのKY鈍感女だと思ったが、ありゃ気付いてんな。バケモンかよありゃ。俺が懐に手を入れても何も行動に起こさねぇが、隙が全くない。攻撃を仕掛けようにもこれといって良いほどに隙が全くない。それでいて自然体だ。人は見かけによらねぇってこの事を言うのかと感心してしまった。何だか人外に会った気分だが、あながちまちげぇじゃあねぇのかもなぁ。
ただ、質問の内容の異様さには気付けない馬鹿だがな。
これは、採用だな。そういやぁ営業の奴等が行きたがらない訪問先の女も気にかかるな。全員2日でダメんなっちまってらぁ。どいつもこいつも心療内科に毎日通ってんだからなぁ。そういや、昨日はその女の家に営業に行ったヤスが腕にヒビいれてきたな。腕を掴まれただけだって。女だぞ?もしかするとこりゃあれだ。人外が2人いるってことか?ククク、若に報告だな。
おっさん面接官
身長200㎝
体重90㎏
性格 弟分思い 面倒見は良いが、隠れた趣味がありそれで弟分に少しなめられているところがある。
隠れた趣味は今後公開する予定です。