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「はーい、どちらさまで?」
「俺だよ。俺。嬢ちゃんも強情だからね俺が毎日通ってやってんのさ。」
「え?おれおれ詐欺ですか。なかなかにストレートにきますね。新手の詐欺ですか?その方法をネットで講義して講義代をぶんどったほうがよっぽど稼げますよ。で、今日は何の用ですか?もしかして、間違い借金取り?そんなの初めて聞きましたね。手口はー」
ドンッ!
ヤーさんが私の家の玄関を叩く。塗装剥がれたらどうすんのよ。
「嬢ちゃん。俺らが手を出さないからって調子のんじゃねぇよ?」
「いえ、調子になどのっては………ああっ、そんな事よりも家の塗装がパラパラ剥がれかかってるじゃないですか。どうしてくれるんですか!あなたが毎日毎日ドンドンドンドン壁を叩くからここだけやたらと不自然に剥げてるじゃないですか!そんなに叩いて格好をつけたいのならば、自分の頭でも叩いてください!知ってますか?精密機器は叩くと治るんですよ。あ、アナログテレビでしたね。じゃあ尚オススメします。でも、いちいち叩かないと治らないのならば一生治らないのでしょうね。それでも、可能性を捨てきれないのならば、いつか、そう、あなたのダチョウの脳みそ並みの機能は正常に戻るはずです。今だけ応援してます。」
ヤーさんを見るとぷるぷる真っ赤に震えていた。羞恥と怒りがせめぎあってますねぇ。あ、帰っちゃった。
今日はなかなかに面白いことを言えていたと思う。私はこの言いあいではいかに面白いことが言えるのかという応酬だと思う。あ、持論ね。
一方的な持論だと思うけれど。あと、幾つか明らかに嘘をついた私。実はこの人は毎日来てなくて昨日から来ている。つまり、この人の前はおんなじ髪型の坊主頭でやっぱり三下モブ感が半端ない。2日周期で全く違う人がうちにくる。皆こんな私との応酬に嫌気がさして変わるのだろう。そのうちあだ名がつくと良いな。「三下モブ殺しの女」とか?