ユーラキ国王暗殺任務後編
「そろそろだな…」
ユーラキ王国の王城を眺めながらハステルトは目を細めた。
俺の予感は外れてくれるとありがたいんだが……。
今日は珍しく酒を飲んでいない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
王の間に着いた。目の前にある扉を開けると中に入れる。
王の気配しか感じないので中は一人だろう…。
ギィィと音を立てながら扉を開けると、ユーラキ国王は
「 何者だ!」
驚きを隠せず少し間があった。
俺は名乗らず真っ先に始末しに行った。
狙撃する時に用いた魔術で王の心臓、喉を貫き、声を出させないようにした。
ユーラキ国王暗殺完了。そのまま部屋を物色したが、目に止まる物は無かった。
それにしてもこの国の王はかなりの変態だったようだ。卑猥な本がたくさん見つかった。内容は言わないでおく…
帰ろうとしたそのときだった
「ククク。 手間が省けて助かりましたよ。」
全身コートで顔が見えず、唯一確認できたのは不敵な笑みだけだった。
「どういう事だ…」
「我々はこの国の精鋭なんて呼ばれてましたが、我々はそんなことどうでもよかった。」
男が我々と言った瞬間六人の同じ格好をした奴らが現れた。
「…要はこの国に尽くすフリをして、乗っ取ろうとしたワケだな…」
「ええ…。ですから、手間が省けて感謝します。 ですが…貴方も死んでもらいます。」
瞬時に構え、キルアに報告メッセージを送る。
(国王暗殺任務完了。非常事態発生。)
男は手にナイフを持ち、こちらへ向かってきた。
俺は即座に抜刀し構えるが、急に後ろから敵の仲間が現れた。
「地抜けか…」
地抜けとは一定の範囲内の地面のどこからでも出てこれる。ユーラキの精鋭と呼ばれていた奴らがよく使う技だ。
背後に現れた二人は即座に攻撃してくる。
右手で剣を構え、正面の男の攻撃を止める。背後の二人の攻撃を当たる直前で左手から風の衝撃波は起こす。
背後の二人は吹き飛んだが、死んではいない。その隙に正面の男を斬り残り五人。
飛躍する。地抜けの気配をいち早く察知した。
離れていた男がジャンプした俺にナイフを投げる。空中では身動きをとれない。
しかし、当たる前にファイアウォールの二重発動の壁で、貫通する前に灰になった。
二重発動は魔術を二種類、もしくは同じものを2つ同時に発動させる技だ。
負担は大きいがやむを得ん。
「中々やりますね。だが、これはどうかなァァ!?」
その瞬間無数のナイフがこちらへ飛んでくる。地抜けで近くにいた男たちも投げる。
俺は同じように壁を作った。だが、灰にはならなかった。一部のナイフが俺の太腿、脇腹そして肩に刺さった。
「グッ…!」
その場に膝をつく。
「耐熱魔法をかけたんですよォォ。」
熱に強くなったため、火の壁を貫通できるようになった。そうなれば火の壁では防げまい。
俺は治癒魔法は初歩的なものしか使えない。
せいぜい擦り傷や打撲を治せる程度。
「終わりですよォォォォ〜! ?!」
俺は男の背後から剣で胸部を貫いた。
剣を抜くと、血が大量に吹き出す。
「どういう事だ…?」
勝利を確信していた奴の顔が絶望とかす。
「演技だ…。痛みはあるが、動けなくなる程ではない。お前は引っかかったんだ。」
「そんな馬鹿な…。」
他のナイフを投げていた奴らは、まとまって斬りに掛かった。
この数はマズイ…。 来たか…
斬りかかって来た男たちを次々と斬っていく。
「やっぱりいたのか…」
「遅れてすまん。これは指示じゃなく、独断で来させてもらった」
「そうか…。それで、こいつで終わりか?」
怯えてその場に立ち尽くしてる男を指差す。
ハステルトは頷くと、俺は炎波動を打った。人三人立った分くらいの直径で、そのまま壁まで壊した。
「バレる前に行くぞ…」
「おう。 それよりその傷はどうした?お前らしくない。」
「どうでもいいだろ…」
「治療しないということは何か理由があるんだな」
こいつとは長い付き合いだ。それくらいのことはお見通しらしい。
理由はあるが今はこの国から出なければならない。
「あの壁の穴から出るぞ」
二人で飛び降り、着地したときに太腿の傷が広がったため、最高速度で走れなかった。
だが、風の魔法で暴風レベルの追い風を作り、それなりのスピードは出た。
王城の門をくぐり、最短距離で出口へ向かう。
真夜中で静かな街の中を駆け巡り、出口の門へ到着した。
スピードを緩めることなく、森林を抜けた。
キルアに報告メッセージを送った。
「任務完了。ハステルトの援護にて精鋭六人始末。これにて帰還する。」