ハステルトとの再会
軍人に襲われた日の夜、私はひとつ気になる事があった。
人払いの結界を張られていたのにどうしてわかったのか。そして、あれほどの力を持った軍人をいとも容易く倒せたのか。
(あらかじめ来るとわかっていた……?)
ルシナはその日の夜は眠れなかった。
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会議を終えた俺は、まっさきにあるところへ行った。
ここら辺は夜でも賑わっている。訂正、夜の方が賑わっている。飲み屋街である。
仕事を終えた商人達や軍人などが、いたる所で飲んでいる。路地裏では酒に弱い人達が倒れ込んだり、嘔吐している。
きっと新人なのであろう。ほとんどが成人になったばかりのような奴だけだ。
その路地裏の奥の細道を進む。この辺にはもう人はいない。細道の中は建物の壁だらけだ。
その壁の所に扉がある。
扉を開け、まっさきにある男が目に入った。
「久しぶりだな…ハステルト…」
細道にあるのは、飲み屋街にあるような店ではなく、少し上品な店だ。カクテルや、ウィスキー、テキーラなどの酒を好んで作る老人が営業している小さな店だ。
ここなら誰にも聞かれずに済む。というか、密談するときによく使われる、知る人ぞ知る店だ。
オーナーの老人もそれを理解しており、時折話し相手になるが空気を読んで、奥の部屋へ行く。カウンターの所に扉があるのだが、注意深い者達の中では、部屋の中で盗聴しているのではないか?という疑問が出てきたそうだ。
だから、オーナーはガラスの壁にして、中の様子をわかるようにし喝、防音にしたという。
「おおーやっぱり来たか!」
店のカウンターに座っていたハステルトは、ここに座れと合図し、ワインを二つ頼んだ。
「お前がスパイをしたらしいな。一体何を見てきた…」
「ああ…、 奴らは1ヶ月後仕掛けてくるそうだ。国の上層部の男一人殺して、そいつの皮で変装させてもらった。」
「相変わらずゲスい事をするな… で、向こうには何か知られていたか…?」
「うちの国のガードは固いからな~。致命的な事は何もバレていなかったな~」
ハステルトは、つい先程テーブルに置かれたワインを旨そうに飲んでそう言った。
そして、また表情を戻しさっきよりも小さい声で、
「恐らく政府の誰かが攫われるだろう…」
「ああ…、あの国はどんな国のガードも切り抜いてきたからな…。 それしか手段はないだろうな。」
「御頭には報告したから、何かしらの指示はあるはずだ…。 もしそういう事態になったら俺も出ざるをえないからな。積極的に手は貸すつもりだ。」
「そうか…。その時は頼む」
ワインを一口飲む。酒は好きじゃないが、飲めなくはない。
「久しぶりの再会だってのに、少しくらいは盛り上がってもいいんじゃないか?」
「…そんなことをしに来たのではない」
その後も、一時間程飲みながら話をした…
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「そろそろ奴らは動くぞォ…。準備を整えろォォ!」
「「「「はっ!」」」」
「必ず潰してやるゥ!シュマデェェェ!」
ユーラキの王の広間にその声は響き、数分後に地震が起きたという…
キルアもまた、策を練っていた。
少しずつですが、読みやすくなるよう努めていきます。まだまだ続きます。